酸性次亜塩素酸!?

 武漢肺炎禍でアルコール消毒液が足らなくなってきて、そのうちに表題の酸性次亜塩素酸とかいうものが出て来た。効果があるというが、よく分からない話だ。

 塩素水を作る。その中には塩酸と次亜塩素酸が生成する。微酸性だ。酸化数が+1と-1に分かれて平衡に達する。これは保存できるだろうか。光があるとすぐに分解されて酸素と塩酸になるはずだ。水道水は希薄な塩素水を用いているのが大半だ(一部はオゾン処理水だそうだが、比率としては極めて少ない)。
 その希薄塩素水で金魚を飼う時には光を当てたり、塩素分圧が0(ゼロ)の空気を入れて塩素を追い出す。要するに微酸性の塩素水は光に当てた瞬間に壊れ始める。

 それではアルカリ性にしたらどうだろう。これは長持ちする。大型トラックで次亜塩素酸ナトリウム水溶液を運んでいる。半透明のガラス繊維強化プラスティック・タンクが付いているトラックを見たことがあるだろう。直射日光を当てても壊れない。家庭にあるハイターなどの商品名で知られるものはこれだ。

 ここまで書けばお分かりかと思うが、商品としては酸性次亜塩素酸水溶液はかなり怪しい。蓋を開けると希塩酸と酸素になっている可能性が高い。効果が証明されているとか書いてあるが、それは製造時の話で、1月ほど棚に置いてあって光が当たった後の物を測定したわけでもなさそうだ。

 このような商品を見ると、いかに科学教育というものが、無力であるかを痛感する。(化学教育ではない。科学教育である。)

 

質問があった

  p.51の問題について質問があった。

『三連球を用いた蒸気圧の測定法』についてご教示ください。
【解答】にある、分圧比=物質量比で導いた飽和蒸気圧pについて、分圧比に対応した物質量比の分子(分数の上側)の圧力 P は、混合気体中の空気の分圧 P-p としなくてよいのでしょうか。あるいは、何らかの近似を前提としているのでしょうか。

 結論を言うと何も間違ってはいない。これは良問であって、授業では解答時に、「ああっ」とため息が漏れるのをよく聞いた。気が付かなくてはならない部分を見落としがちなのだ。
 気を付けるところは質量保存則である。左から送り込まれる空気は、右側では”被検液の蒸気によって薄められて”出て来るが、その物質量は何ら変化していない。
 
 近似は、ないと考えて良い。厳密に言うと、被検液の液面下に入っている深さの分だけ圧力が掛かるが、ここでは無視している。実験時にはここを泡がかろうじて出る程度の深さにする。ゆっくりやれば、蒸気で飽和する。

 この実験は現代の高性能な機械が無い時代に、質量測定だけで蒸気圧を得る非常に具合の良い方法であった。質量は、当時でも 1 mg程度の測定は可能であったからだ。

 この問題は昭和50年代初頭の三重県立大学医学部(現在の三重大医学部)の問題であった。当時この学校で教鞭をとっていた化学の教授は非常に優秀で、良い問題を出していた。講義も素晴らしかったと聞いている。

プラグマティック化学 第2刷

 pragmatic chemistry4月20日、第2刷が発刊された。
初版第1刷にはつまらぬミスが多発したので、今回はその一掃を図った。今まで皆さんにはご迷惑をお掛けしたが、今後はそのようなことが無くなる。


 

洗濯とは

 筆者は学生時代から、洗濯に興味がある。どうして洗濯をしなければならないかということについては、いろいろな文献に理由が書いてあった。洗剤液に浸けておくだけではだめな理由はいくつかあるということだ。

 まず、界面活性剤だけでは汚れを繊維に結び付けているタンパク質が溶かせない。これについては最近は酵素による分解が可能になったので、問題は殆ど解消された。
 次に、油脂が付着しているのを界面活性剤が浮かび上がらせて取るプロセスで、液体油脂は取れるが、固形の油脂は取れなかった。皮脂には液体と固体の両方が含まれているのだ。だから漬け置きではだめで、揺すぶったり、叩いたり、掻き回したりする物理的操作が必要ということになっていた。

 最近は界面活性剤が急速に進歩した。この固形の油脂も、漬けておくだけで細かくなって、水に溶け込ませることができるようになった。こうなると洗濯機の形も変化するだろう。

 過去に洗濯機の構造は変化したが、結局は撹拌型である。水流を作って浮かせて回転させるものもあったが、あまり調子が良くなかった。超音波を当てるというのも見たことがあるが、これもうまく行かなかった。結局は昔ながらの撹拌法が一番うまく行くことが確認されたのだ。しかし、繊維の隙間に食い込んでいる泥汚れが無ければ、この新しい洗剤を使えば殆ど動かさずに洗濯が済むことになる。省エネルギィである。

 おそらく、家電メーカはこの洗剤に気が付いているはずだから、近い将来、今までとはかなり構造の異なるものを出して来るであろう。楽しみだ。

またまた ヒサカキ

 しばらく前にヒサカキの話を書いた。公園の真ん中にそんなものがあるから臭くて仕方がないという話だ。
 その後ガス漏れ騒ぎもなくなり、平和であったが、またもや臭いがしてきた。犬の散歩で丘に分け入ると、たくさんある。犬もそういうものには近付かない。

 メルカプタン系の化合物には何種類か接しているから、大体の見当はつく。人間の鼻は犬よりは劣るが、訓練してあるとかなりの識別ができる。これをハナマトグラフィーという。(この記事を4月1日に書くつもりだったが、うっかり忘れた。)

 学生時代ハナマトグラフィーの得意な奴がいたが、ベロマトグラフィーというのもあった。死ぬといけないのであまりやらないほうが良い。

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