質問があった

  p.51の問題について質問があった。

『三連球を用いた蒸気圧の測定法』についてご教示ください。
【解答】にある、分圧比=物質量比で導いた飽和蒸気圧pについて、分圧比に対応した物質量比の分子(分数の上側)の圧力 P は、混合気体中の空気の分圧 P-p としなくてよいのでしょうか。あるいは、何らかの近似を前提としているのでしょうか。

 結論を言うと何も間違ってはいない。これは良問であって、授業では解答時に、「ああっ」とため息が漏れるのをよく聞いた。気が付かなくてはならない部分を見落としがちなのだ。
 気を付けるところは質量保存則である。左から送り込まれる空気は、右側では”被検液の蒸気によって薄められて”出て来るが、その物質量は何ら変化していない。
 
 近似は、ないと考えて良い。厳密に言うと、被検液の液面下に入っている深さの分だけ圧力が掛かるが、ここでは無視している。実験時にはここを泡がかろうじて出る程度の深さにする。ゆっくりやれば、蒸気で飽和する。

 この実験は現代の高性能な機械が無い時代に、質量測定だけで蒸気圧を得る非常に具合の良い方法であった。質量は、当時でも 1 mg程度の測定は可能であったからだ。

 この問題は昭和50年代初頭の三重県立大学医学部(現在の三重大医学部)の問題であった。当時この学校で教鞭をとっていた化学の教授は非常に優秀で、良い問題を出していた。講義も素晴らしかったと聞いている。

スポンサーサイト



コメント

解説ありがとうございました。

本件の質問をした者です。お忙しい中ご対応いただきありがとうございました。私の理解が正しいかの確認も含めて書き込みます。

左から「圧力P,体積V(温度t)」の乾燥空気を送り込み、三連球から「全圧P(空気の分圧P-p,試料分圧p),体積V(温度t)」の湿潤空気が出てくる、という考えのもとで質問しておりました。

三連球内にある初めから存在する空気分子と、V [L]の乾燥空気を送り込んだ後に三連球内に残る空気分子の数は等しいわけですから、V [L]の乾燥空気の質量が保存されるというわけですね。

同一体積V [L]の湿潤空気が出てくる、という前提が間違っていたことに気づきました。
三連球から出てくる気体は、試料蒸気のぶんだけ体積が増えるのですね。

その通りです

 分圧は非常に間違いやすいところです。

 ほとんどすべての生徒さんは、「圧力は濃度の一種である」ことを認識していません。
それは拙著のp.36~39に書いてありますが、 教科書を読み飛ばす人が多いのです。じっくり読んでください。ここに書いてあることは日本の化学教育の中で軽視されているところです。

 全圧が等しいので、蒸気が加わった分だけ体積は増えます。即ち空気は薄められます。しかし物質量は変化しません。

 面倒な計算を排除するには、決して変化しないものは何かを考えねばなりません。常に質量保存則は成り立っているので、最初にそれを考えるのは効率的です。
非公開コメント

プロフィール

7obac9z0f3sv

Author:7obac9z0f3sv
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR