ガス爆発

 札幌のガス爆発の件には驚いた。スプレィのガスを屋内で抜いた。しかもその数200本以上というのだから参る。ガスはDME DiMethyl Etherだそうだ。これは学生時代によく使った。本には麻酔性があると書いてあったので、吸ってみたがそうでもなかった。多分、量が少なかったのだろう。今回はたくさん使っているので、麻酔が効くのではないかと思った。

 新聞の報道は、相も変わらず、科学音痴を晒している。
「音速を超える衝撃波を伴う爆轟が起きた」と書いている。どこかの大学の先生が言ったことをそのまま書いたとすれば、これはやや問題だ

 爆発により音速を超えて圧力が伝わると、その波面は高度に断熱圧縮される。急速に着火されて全体が燃焼する。このような現象を爆轟と呼ぶのだ。衝撃波は下線部で生じる。もちろん断熱圧縮されて急速燃焼することによってさらに衝撃波は強いものが生じるだろう。衝撃波は音速を超えているに決まっている。爆轟は衝撃波を生じているに決まっているのだ。馬から落ちて落馬しているわけだ。いや落馬して馬から落ちているのかな。
 一般論を言うと、このようなガス爆発では爆轟は生じない。爆燃が起きるはずだ。炭化水素で爆轟が起きるなら、自動車のエンジン内でガソリン蒸気に点火すれば、エンジンは一瞬で壊れる。水素の時は爆轟が起きることがある。だから水素自動車はいろいろと工夫が要るはずだ。

 筆者は爆轟detonationを実際に起こす場面を何度か見ている。コネティカット大学の先生が見せてくれた。その先生は火薬の研究をしていた。面白い実験室があって床、天井、壁が全て硬い樫(カシ)の木で覆われている。小さな覗き窓から様子を見るが、それもテレビカメラを通してだ。爆発によって飛び散る破片は樫の木の厚板に突き刺さる。

 ガスと言えば、年末はドライアイスの消費量が多いらしい。ドライアイスで冷やした食品を配達してくる業者は、その危険性を知っているのだろうか。保冷車の中にドライアイスがたくさんあると換気をよくしないと危ない。ドアを開けると下の方に溜まったガスは流れ出し、新しい空気が上に入るから、立っていれば安全だが、しゃがむと危ないと思う。

 我が国は国を挙げて二酸化炭素排出削減に取り組んでいるそうだが、ドライアイスは野放しだ。もっとも二酸化炭素濃度は地球温暖化には寄与していないから、どうでもいいのだけど。そろそろ、気が付いても良い時期に来ているのだが、なかなか難しそうだ。
 15年ほど前に買った本によると、ドライアイスは石油を燃やして生じる二酸化炭素を冷やしながら圧縮して作る、と図とともに説明してあった。信じられなかったが、どうも正しいことだったらしい。最近は発電所の排気ガスから回収しているらしい。回収方法は拙著プラグマティック化学の p.260 にあるので、お読み戴きたい。

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コメント

No title

こんにちは

初期の抜歯に使われたエーテルはジエチルエーテルで
割と麻酔の深さをコントロールしやすいのですが
先生ならご存知のように極めて発火性が強いので
おそらく電気メスを使ったとたんにアウトでしょう。
ですので現代では使われることはありません。
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