5員環と6員環

 自然界には5員環(five-membered ring)が多い。単結合だけで環を作ろうと思うと、結合角が108度に近いので、自然にそうなる。キレートも同じだ。金属元素を含んで五角になるものが大半だ。
 6員環はベンゼンがあるから有名だが、単結合なら平面構造は無理である。キレートを作るときに一部に二重結合を持てば、自然に六角の平面ができるだろう。しかし六角は少ない。
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 多座配位子を英語ではpolydentateという。"dent"は歯医者に関係がある。噛み付くという意味だ。単座(二座) 配位子はmonodentate (bidentate)だ。30年ほど前だが、入れ歯を安定させて外れにくくする補助材が売り出されたとき、ポリデントという商品名を聞いて混乱したことを覚えている。

 EDTAという薬品は六座配位子だ。酒石酸イオンは二座ないし四座配位子となる。アルカリ性の条件ではアルコールも解離して配位したくなるからだ。ここでは絵を描かないが、自分で調べて形を知っておかねばならない。配位結合を作るときには立体的に対称的な形を作り易いのだ。

 10年以上も前になるが、ある参考書を生徒さんが持って来て、筆者に示す。説明してくれというのだ。その絵を見て仰天した。よく売れている参考書だそうだが、あまりにひどい。その一部をコピーする。赤いバツ印は無視して戴きたい。
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 ありえない構造をしている。この著者は全くの素人であることがすぐ分かった。何も理解していない。推定とは書いてあるが、能力ある人の推定は当たるが、そうでないと悲惨なことになる実例である。
 実はこの絵が、筆者にプラグマティック化学を執筆させる原動力になったのである。そういう意味では感謝している。最近の本は調べていないが、きっと直っているだろう。

 プラグマティック化学のコバルトのところ(p.237) にこれに関した設問がある。筆者の予備校講師時代に作問した約2千題中、最良の問題と自負しているものである。問題だけ読んでじっくり答を出して戴きたい。自力で解ければ、頭の中のすべてがつながるはずである。解くのに、2週間掛かったという話はよく聞く。それで良いのだ。
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