プラスティック表面の”ぬれ”を良くする

 先回の記事に早速反応して、情報を提供してくれた昔の生徒さんがいる。コロナ放電処理だそうだ。
 フィルムを面電極の間に通し、高電圧を掛ける。酸素はプラズマ状態になり、プラスティックの表面を酸化するわけだ。OH基、COOH基などがたくさん生成する。
 電極の片方は金属ローラにしておけば、作業が簡単だ。

 学生時代、ポリエチレン製品が実験室にたくさん出現した。様々な実験器具がポリエチレンに置き換えられた。どれも使い捨てに近いものだが、耐久性のあるものもあった。
 1Lのビ―カに、二クロム酸カリウムの酸性溶液を半分ほど入れておいた。一夏が過ぎて、中身を別のガラス容器に移したところ、ポリエチレン容器の内側が変化しているのに気が付いた。

 液面下の部分の艶が無くなり、水にぬれやすい。明らかに変化している。 酸化剤と反応したのだ。殆どの本にはポリエチレンは酸化剤と反応しないと書いてあったのだが、夏の気温程度でも長時間晒せば酸化されたのだ。

 しばらくその実験をしてみた。様々なプラスティックのかけらを、二クロム酸カリウム酸性溶液に漬けて変化を見た。ほとんどのプラスティックは変化したが、テフロンは大丈夫であった。

 水でぬれやすいということは、塗装ができるということである。ペンキが塗れるはずのないポリエチレン製品にペンキを塗り、わざと落として剥がれないことを確認した。
 オゾンを当てて酸化することも考えた。ある程度の実験ができた頃、そういうことが書いてある本を見つけたので、研究は断念した。

 50年近く前のことが、いろいろ思い出されて楽しい。
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インクジェットで印刷できるOHP用シート

 最近OHP (overhead projector) というものを見かけることがあまり無くなった。1970年代のアメリカではどこにでも置いてあって、便利な道具だと思った。
 日本でそれをよく見るようになったのは80年代になってからだ。小中学校に急速に普及した。

 最近はコンピュータの中の情報をディスプレイで直接見たり、プロジェクタで映し出したりするのが普通で、OHPはまず見なくなった。そのOHP用の透明シートをコンピュータのプリンタで印刷するためのシートがある。最近それを戴いたので、全く別の用途に使うことにした。
 興味深いので説明書を読むと、印刷した直後は少し膨らむとある。インクジェットは水ベースのインクが噴射されて印字する。水でなくても多価のアルコール(エチレングリコール等)を溶剤にしている。それが吸収固定されるのだから、OH基の付いた何かが塗ってなければならない。手触りから、重合度300程度のPVA(ポリビニルアルコール)ではないかと推測した。

 PVAなら水に溶けるはずだ。試しに水滴を落とすと、膨潤する。水浸漬(しんし)するとぬるぬるとしてくる。3分も浸けると塗ってあるものはすべて溶けてなくなる。
 ベースフィルムはPETだろう。ただ、手触りが少し異なる。水とのなじみが多少良い。PETそのものは水にぬれない。水をはじいて水は球になるが、そのシートの上では球にならない。
 そのフィルムは「ぬれ」性をよくしてあるのだ。どのような構造かはすぐにはわからないが、何かの工夫があって水とある程度はなじむようにしてある。その結果PVAともなじみが良くて剥がれない。

 新品の厚みは 0.13 mm であったが、よく洗うとシートそのものになり、厚みは 0.10 mmぴったりであった。
 

 すでに商品としては売れ行きが悪くなっているのだろうが、いくつかの工夫があって面白い。
「ぬれ」は、私たちの生活に非常に深く入り込んだ概念である。文字が書けるのも、消しゴムで字が消せるのも、接着剤が付いたり、ペンキが塗れるのもすべて「ぬれ」のおかげである。「ぬれ」は英語で "wetting" という。

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