等張溶液

 非常に珍しいことにインフルエンザになった。実は、筆者は風邪をひいたことが無い。父も叔父も、父方の祖母も全くひかなかった。その話を遺伝子工学の友人に話すと、「サンプルが欲しかったな。家系に縦に4人もいれば、風邪をひきにくい遺伝子がすぐ見つかったのにな。」と言った。しかも父は1919年にスペイン風邪に罹ったが生き残ったのだ。歯に跡が残っていた。学校では同級生の大半が、永久歯に横筋を持っていたという。恐ろしい病気でタンパク質の合成が阻害された痕である。しかし、 それで免疫を得たのも長生きに貢献したはずだ。当時の子供の患者の5人に一人は死んだそうである。
 筆者は小学校で学級閉鎖になっても、一人だけ学校でブランコに乗っていた。校長が帰れというのだけど、帰っても何もすることが無いので、図書室に入れてもらって本を読んでいた。学級閉鎖は何度もあったので、結局図書室の本は読み尽くした。

 化学の教師になったけど、発熱に対する解熱剤の説明がどういうことなのか、今一つ実感がない。
 風邪というのは仮病の一種かもしれないとさえ、考えたことすらもある。同僚と反応機構について議論していて、相手がやり込められて都合が悪くなったころに、必ず風邪をひいてうやむやになるということが、何回もあったからだ。罹ったことが無いと、こういう感想を持つことになる。

 さて今回はインフルエンザとの判定が下り、発熱しますよというので、期待して待った。3日目に39℃を越えた。歯の根が合わないという震えを初めて経験して、興奮した。これなのかと納得した。筆者の寝室のトイレはフル・バスルームで、風呂、シャワーもトイレも洗面台もある。将来必要になると思って、フル装備だったが、今回それを使った。洗面台の下には「生命維持装置」と勝手に称する、NASAが使っていたLife Support Unit風の箱がある。中にはリンゴジュース10L 等張溶液10Lが入っている。非常用だ。

 下痢をした時はリンゴジュースを飲む。飲みながら出す。ジャカルタに行ったときは、帰りの飛行機で下痢が起こり始め、その後1週間は便器にしがみついて過ごした。1週間で20Lのリンゴジュースを飲んだ。下痢でカリウムイオンが不足するので補わないと、大人は死にやすい。その時はともかく助かった。

 今回は喉が痛く、水すら飲めない。喉は真っ赤であった。こういうこともあるかと思い、作っておいた等張溶液を、37℃に温めて少しずつ飲む。全く問題ない。いわゆるアイソトニック飲料であるが、香料とか酸味料は不要だ。冷蔵庫に入れたのを飲む人が多いが、全くの間違いで、体温で飲まなければならない。完全な等張で、なおかつ余分な香料等がはいっていなければ、鼻から飲んでも一緒だ。但しその時は一部気管に入るが、苦しくない。逆立ちして出しておく。

 等張であれば、傷口に付けても痛くない。けがをしてガラスの破片が入っている時など、洗って探さねばならないから、そういうときも役立つ。

 そろそろ5日目に入ったので、間もなく歩けるようになるだろう。使った液は補充する。水道水を使って作るので腐らないところが良い。僅かの塩素が、完璧な防腐剤として働く。もちろん瓶は塩素消毒し、空気を全部抜いて密栓する。

 いわゆる目薬は、すべて等張になっている。昨夏アメリカに行ったとき、ドライアイに悩んだ。どうしても目の表面が乾いて、引っ掛かる。涙に似た成分の目薬を注すと楽になる。胸ポケットに入れておいて保温し、それを注すと、注したことにも気づかないほどだ。

 安く準備できるものだから、皆さんもこの程度の用意はされておいたほうが良い。
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