ヒサカキ

 自宅近くに比較的大きな公園がある。400 m角ほどもあって、奥には水道の施設があり、その手前の丘と平地との標高差は20 mほどもあり、さらにそれから10 mほど登る展望台からの見晴らしがよい。

 春先にその公園を散歩していると妙な臭いがする。まさかとは思ったが、ガス臭だ。風向きによって臭う時と、そうでない時があるから、どこかのガス工事に関連するものかとも思った。
 自治会長をしているので、会員から苦情が来る。ガス臭いから調べてほしいと。実際に公園に行っても、よく分からない。公園に面した窓を開けると臭くて仕方がないと訴えるので、月一回の町内パトロールの時に、みんなで手分けして何処が臭いの元なのかを探しましょう、ということになった。

 当日その話をすると、もうすでに場所を特定してあるようで、皆で行ってみた。猛烈なガス臭だ。あちこち調べて、時計台の裏が一番臭いということになった。市役所に行って訴えたが、そこにはガス管はないという。
 古いのがあってそれを伝って漏れているのでは、と言うとガス漏れ検知器で調べてくれたが分からなかった。その件を町内会の会報で知らせると、植物に詳しい方がいらして、思わぬことを教えてくれた。

 それはヒサカキの臭いです、とおっしゃるのだ。春先になると、ラーメンの汁が腐ったような臭いとか、猫の尿の臭いとか、公衆便所の臭いを順に発し、最終的にガス臭になるのだそうだ。その隣に公衆便所もあるので、余計話がややこしい。
 そんな悪臭を発するものを公園に植えるのはけしからん話である。早速市役所に行ってその話をしたら、係の人は仰天し、早速刈り取ってくれた。

 ヒサカキは姫榊と書いたり、非榊と書いたりするそうだ。要するに榊(サカキ)より小さいので、その名が付いたらしい。榊でないという意味もあるそうだ。
 ガスの臭いはメチルメルカプタンである。メチル基にSH基が付いた分子で、大変な悪臭がある。分子量がそれほど大きくない物質のうち、最も臭いが強いらしい。要するに薄められても感知できる臭いである。分子量が大きくないから、拡散しやすく、気が付きやすい。口臭にも含まれているという。

 これは硫黄を含むので、都市ガスの天然ガスを燃料電池の燃料として使うときには、電極材料と反応するといけないので、脱硫装置を介して供給する必要がある。”メルカプト”という言葉は、mercury(水銀)と関係がある。水銀はメルカプタンと良く反応して黒い HgS を生じることから名付けられた。

 犬の散歩でそこを通ると、刈り取られた跡が徐々に目立たなくなっている。先日の雨で、さらにわかりにくくなった。
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酸化数の誤植

 20年前の生徒さんから、誤植のお知らせを戴いた。現在は高校の先生をしていらっしゃるようだ。
 p.133  二酸化炭素の電子式中、酸素の電子が8個になっていない。消し忘れだ。
      上か下の2個を消して戴きたい。2箇所ある。

 p.135  これは重大なミスだ。四チオン酸イオンの4個の硫黄原子のうち、中の二つの酸化数は、0(ゼロ)である。下の計算式は合っているので矛盾が生じるから、気が付かれた方も多いかもしれない。

 11月中旬に河合出版の正誤表に掲出される予定だ。その後、このページは削除させて戴く。

 出版後、何度も読み返しているのだが、自分の本は全部頭に入っているから、誤植の発見はほとんどできなかった。読者の方で、気が付いたことがあったら、お知らせ願えると有難い。

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