ジャムを作る

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 庭にあるアンズ(apricot)の木に実がなり、バケツに2杯ほど収穫した。樹齢20年超だが、まだまだたくさんの実をつけてくれる。過去の収穫の最大値はバケツ4杯であった。
 収穫するには枝を握って激しく振動させれば良い。たちまちばらばらと落ちてくる。まだ固いものは落ちない。

 簡単に水洗いして、手で二つに割って種を出す。大きな鍋に入れて砂糖を加え、軽く混ぜて放置する。
 浸透圧で少し水が出てきたころに、弱火でゆっくり加熱する。焦げ付くといけないので、大きなしゃもじで混ぜながら煮る。この時、甘みが増大する。種は少しだけ入れておくと、香りがよくなる。
 最初の砂糖水に近い状態の時の甘味と、1時間煮た後の甘味は全然違う。しかも後者は冷えると甘味が強く感じられる。熱いままではそれほどでもない。

 これは化学反応である。ショ糖(スクロース)は果実の中に含まれる酸の働きで加水分解される。加熱により反応が進行する。生じたグルコースはそれほど甘くもないが、フルクトースは甘い。ただし、熱いと甘味をあまり感じない。ジャムを常温以下に冷やすと、素晴らしく甘く感じる。

 果実には様々な酸が入っていて触媒として自然に機能するが、ショ糖水溶液だけだと煮ても変化しない。ケーキ作りでシロップを作るとき、レモン汁を入れて煮るのは上記の理屈を利用する工夫である。加水分解後の単糖の混合物は、冷えても結晶化しないから、ざらつくようになることもない。
 料理というのは、自然発生的にノウハウが蓄積されている。理屈を知らなくても、結果を利用している場合が多いのだ。

 出来上がったジャムを瓶に入れ、軽く蓋をする。鍋の中の沸騰水につけて、熱くなったところでネジ蓋を締めて出来上がりだ。殺菌して閉めたので長く保存できる。冷えると蓋は蒸気圧が小さくなるので、ぺこんと音を立ててへこむ。
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銅板と鉄釘

 最近、親戚の家を壊すのに立ち会った。地方の旧家で、中庭にあった戦前に建てられた離れと明治時代の倉庫とを撤去したのだ。ふつうは重機を持ってきて叩き潰してしまうのだが、中庭なのですべて人手で壊した。一週間ほどかかった。
 その最中に、銅板が屋根の水切り板に使ってあるのを見つけた。はがして投げ捨てたのを見て少々驚いた。

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 これがその写真である。雨の日であったので、多少濡れた状態ではがされたのである。銅の色が鮮やかであった。他の部分は緑青が出て緑色なのだが、釘の打ってあったところの近くは単体の銅のピンク色であった。その釘はまだ完全に錆び落ちてはいなかったので、鉄の釘が銅と接触していたのである。ピンクの銅の色は家に持ち帰るころには消え失せ、多少酸化された色になった。酸化銅(I)の暗い赤色である。

 雨水が電解液となり、鉄が犠牲電極になっている。銅が酸素と二酸化炭素で酸化されてしまったのを、還元しているのである。釘穴から半径20 mmほどは銅の色に戻っている。おそらく、天気が良くなれば銅の表面は徐々に酸化され、雨の日に還元されるということを数十年以上続けてきたのであろう。

 同じ銅板の端の方にはもう一つの穴があり、そこの釘はすでに錆びて消滅している。だから、緑青が生じている
。  昔から、銅板は雨の当たる部分、樋とか水切り板に使われてきた。防錆と言う概念がなかった時代であるから、イオン化傾向の小さい金属単体を使ったのだ。もちろん金や銀を使えば完璧だろうが、あまりにも高価で、現実的ではない。
 銅は、日本ではよく産出したし、精錬技術もあった。大きな神社、仏閣、城郭には銅の屋根が多く使われた。庶民の家にも使われ始めたのが明治時代だ。

 銅の樋を鉄の金具で取り付けると、鉄の金具が急速に錆びるのを現場の職人は知っていた。だから、高級な家の樋は銅の金具に銅線で縛り付けられていた。これを「共金具」と言っていた。同じ金属で締め付けたのだ。銅板を打ち付けるときは銅の釘を使った。これも「共釘」と言っていた。今回の銅板は職人の知識が足らず、鉄の釘を使ってあったのだ。だから、釘は徐々に消滅し、銅板がずれて雨漏りが起こったというわけである。

 イオン化傾向の差による電蝕は無視できない損失を我々に与える。最近多いステンレスの板を使った外装などで、まともな知識を持っている工務店、職人の数はとても少ないと感じる。ほとんど、どの例を見ても間違っている。十年も経てば、雨漏り、風による飛散などが起こりうる。 監督官庁は、何らかの手を打たねばならない。
 その点、アメリカでは異種の金属を接合するときは絶縁された継ぎ手を使うことが職人のレベルで徹底されている。この違いはどこから来たのだろう。

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