誤読

 しばらく前、洗滌の読み方の記事を書いたとき、複数の方から、お便りを戴いた。学術用語にはこの種の誤りがかなりあるのはどうしてだろう、というものである。
 
 「口腔」、「浸漬」、「稠度」の読み方が気になる。順に、「こうこう」、「しんし」、「ちゅうど」が正しいはずであるが、「こうくう」、「しんせき」、「ちょうど」と読ませるらしい。
 体腔という言葉は仏教用語にある。仏像などの中のことを指したりする。それは「たいこう」と正しく読む。40年前、歯科医だった伯父が博士号を取って口腔外科を標榜したとき、「こうこうげか」と言ったらたしなめられた。
「世間ではこうこうというのだが医学用語は違う。」
 話を聞くと、医学用語には世間一般で使われている言葉とはずいぶん異なる読み方をするものがあるそうだ。その時に聞いた解釈は、「正しい読み方をすると、一般人は読み間違えるし、それが間違って伝わるといけないので、一歩下がって誰でもがこう読むだろうという方向に舵を切ったのではないか。」というものであった。釈然としなかったが、そうかもしれないということはある。
 「しんし」すると言っても、誰もピンと来ないし、ワープロで出て来ない。「しんせき」ならすぐに変換できる。
 
 最近、ある友人の書いた文に、グリースの稠度の話があった。「ちょうど」と読み方が書いてあったので、すぐに「ちゅうど」のはずだと連絡した。そうしたら、JISには「ちょうど」と読み方が指示されているとのことで、これは意外であった。人口稠密地帯を「ちょうみつ」と読んだら明らかに間違いとして処理されるであろう。金属結晶で、稠密六方格子構造という表現もあるが、生徒さんが「ちょうみつ」と言ったら、当然言い直しをさせる。数学用語にも稠密はある。
「ちょうど」という言葉には違和感がある。非常にまずい表現だと思う。
 
 話は少し変わるが、撥水という言葉がある。「はっすい」と読んで、水をはじくことを言うのだが、「揆水」という字を使った表現をよく見る。梅雨時などには広告でこれでもか、というほど見せ付けられる。特許まであるのには驚かされる。
 これでは「きすい」としか読めないし、意味も不明である。百姓一揆を「ひゃくしょういっぱつ」と読んだら、歴史の先生に叱られるのは勿論、一般人にも「常識の無い奴」として扱われるだろう。
 この種の誤字は気持ち悪い。
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