セスキ炭酸ソーダ

イメージ 1

 突然、友人から電話があった。「セシキ炭酸ソーダというのがあるんだ。すごくいい。お前にも送ってやろうか。」
「なんだって?セスキの間違いじゃないのか!?」
「そうかもしれない。なんでもいいや。要らないのかい?」
「僕は化学屋だ。それを知らないとでも思っているのかい?『信ずる者は救われる』だから、好きにすればよいけど、よく勉強してから人に言わないと、ロクでもない結果を招くぞ。」と忠告した。

 正直なところ、セスキ "sesqui"という言葉に日本で遭遇するとは、予想もしなかった。昔ヨットに乗っている友人(アメリカ人)が"sesqui right angle"という言葉を使ったので、驚いたことを思い出す。ギリシャ語の1.5を表す言葉で、テルペンの炭素数を表すとき位しか出てこない言葉である。化学の中でも非常に狭い分野でしか出てこないので、135度を表すときに、90度×1.5=135度という計算をするとは思わなかったのだ。

 インターネットで調べると洗剤として使われるらしい。何が良いのかわからないが、先日の記事にあるトロナ鉱が、まさにそのものである。 
 売っているものは粉末のようだ。トロナは塊であるが、それを水で溶かして抽出しているはずなので、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムになって出てくる。それを再結晶してもトロナには戻らない。これは人間には作れないものなのである。
 ということは炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの微粉を混合しているのであろう。効能は塩基性が強すぎず、そこそこの洗浄力があるということだ。早い話が、炭酸水素イオンと炭酸イオンとの1:1の混合液で、緩衝能力が あって、pHが10.3程度である。何が良いかわからない。

 洗濯で大切なことは、垢に含まれるタンパク質を分解し、それによってこびりついている汚れを取ることである。油脂の分解はそれほど大きなファクターをもたない。だからこそ、酵素入り洗剤の効果が評価されているのである。天ぷら油がしみ込んだ服を洗うならば、炭酸ナトリウム水溶液で煮るのが一番だ。油脂は鹸化される。常温でpH10前後では、鹸化速度は極めて小さい。タンパク質も分解されにくい。

 普通の洗濯洗剤には炭酸ナトリウムが15%程度添加されているので、pHは11程度になる。手を入れるとぬるぬるするのは、指先のタンパク質が多少溶けて親水性が増すからである。
 当然、毛糸、絹を侵すので、そういうものは洗ってはいけない。

 さて、セスキ炭酸ソーダは何に使ったら良いのであろうか。いろいろ考えてみるが、よくわからない。ひと頃、テレビで重曹パワーなどという怪しい情報を撒き散らしていた人がいなくなって安心していたら、新手の登場である。通販サイトで売っているらしい。買った人のレビューを見ると、自己催眠状態としか思えない言葉が並んでいる。

 水とか洗剤は、なにか目新しいものを持ってくると商売になる分野だ。あれが危ないからこれを使えと言って、新しいものを買わせるのだが、よく調べると、論理的に破綻している場合が大半だ。自己矛盾を起こしているのだが、ほとんどの人は気が付かない。

 油汚れを落とすには専用の洗剤を使うのが、一番良いのだが、科学を理解しない人には通用しない話なのだ。 



 先回の 10.0秒だが "ten point zero seconds、0.01秒は zero point zero one seconds"が正解である。小数、分数は複数概念である。
スポンサーサイト



Second という単位

 秒はsecondだ。学生時代、どうして2番目なのかがわからなかった。いくつか辞書を引くのだが、当時はそこまで書いてある本はなかった。

 エジプトの時代から、1年が365日と1/4 弱であることがわかっていた。1日は夜明け、正午、日没くらいしか分けられていなかった時代が長く続いたが、15世紀に入ると大航海時代になり、大洋中で自分の船がどこにいるのかを知る方法が必要であった。太陽の角度と正確な時計が必要である。
 時計は急速に進歩し、揺れる船の上でも正確に時を刻むことが可能になった。それがクロノグラフ chronographである。

 18世紀には大西洋の往復で2秒しか狂わないものまで現れた。このような時計を装備すると、船の位置を約400メートル刻みで知ることができる。すなわち正確な海図ができる。
 海図は各国の海軍の秘密情報であり、正確な時計を作れる国が世界の海を我が物にできたのだ。

 さて、一般人の生活の中に「分」が現れたのはいつごろだろう。

 それは鉄道の開通時である。当初は、日の出に出発、正午に向こうを出発程度のもので良かったのだが、列車の本数が増えると、途中ですれ違わなければならない。すると、すれ違いのタイミングを合わせるため、○時××分発 という表現を必要とした。

 当初、「分」は prime minute と呼ばれた。最初の細かく分けたものという意味である。そうなると、その次の「秒」は second minute となる。それが second の始まりである。 
 
 今はインターネットがあるので、世界中の辞書が引けるが、この情報に行き着いたのはアメリカの東部の大学の図書館であった。日本ではその情報にたどり着けなかった。

 東京オリンピックの頃は、計時が0.1秒単位であった。手で測ったのだから仕方がない。次のメキシコ・シティの時は機械計時で0.01秒単位になった。その時、100m走で9.95秒が出た。

 ここで問題である。"10.0秒”、”0.01秒”を英語でなんと言うのであろうか。

塩素 と アルミニウム

 リットルが大文字ブロック体であることを先回書いたが、もう一つ、昔から気になっていることがある。生徒さんの書く文字で、塩素がCℓ、アルミニウムがAℓになっているのだ。他の文字は皆ブロックレターなのだがこの二つだけは l(エル)を丸く筆記体で書く。

 聞いてみると、「学校でそう習った。」と言う人が大半だ。そんなことを教えているのだろうか。どう考えても元素記号は筆記体でなく、ブロックレターで書くことになっている。CやAはブロックでℓだけ筆記体というのは理解できない。不思議な話だ。
 試しに原子番号81のTlを書かせてみると、ブロックで書く。教えられていないものは正しく書けるというのは、一体何だろう。たまたまそのような教師に当たっただけ、と言うには確率が高すぎるのである。昔はそういう風に教えていたのだろうか。筆者の高校時代は、そんな文字は見たことがなかった。

 最近はやや少なくなったが、希硫酸の「希」に当たる言葉を、diℓと書く人がいるのだ。多分、 diluted 希釈されたという意味なのだろうが、こんな言葉は高校で教えるべき言葉ではないし、もし教えるなら、正しい綴りとアクセントの位置を教えるべきである。
 既にdiluteは形容詞になっているので、過去分詞にする必要もないかもしれない。確実に言葉は進化している。

 また、濃硫酸を concと書く人もいる。concentratedなのだろうが、高校の化学では無用な言葉だ。知っている必要もない。一部の高校教師の趣味が押し付けられている気がするのは、筆者だけだろうか。


 将来外国で活躍する人が、自分の文字が通用しないことに愕然とするのではないかと思い、正しい文字を使うように勧めたい。

[追記]
 手書き文字で塩素をCℓ、アルミニウムをAℓと書くのは、許せる範囲にあるとは思うが、先日見せてもらったのはひどい。高校でのプリントらしいが、ワープロで打った文字がCℓ, Aℓになっていた。これでは全く通用しない。 
                         1/31/2014 記              

プロフィール

7obac9z0f3sv

Author:7obac9z0f3sv
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR