単位

 数年ほど前、友人から質問があった。単位の頭文字が大文字と小文字があるけど、どうしてだろう、ということであった。ある程度は見当がつくけれど、不可思議なものもある。
「どうして僕に聞くのだい?」と聞くと、「誰も答えられないから、聞いてみようと思ってさ。こういう雑学には強いだろ?」
 そうなると、頑張らざるを得ない。家に帰ってしばらく考えて見た。単位は人名がついているものが多い。パスカル、ニュートン、ジュール、アンペア、ヴォルト、ケルヴィン、ワット、テスラ、ヘンリ、デバイ、ガル、ベクレルなどは、みな大文字である。人名だからであろう。
 一方、メートル、グラム、秒などは全て小文字で始まる。これらは人名ではないからだ。こうして考えると、ひとつだけ異端が見つかる。

 それはリットルである。Lの大文字である。これは調べるのに、一週間もかかった。家中の本をひっくり返し、インターネットも見たがよくわからなかった。
 これには載っていないだろうと思った雑誌にその答えがあった。なんと、「本来は小文字の"l"を使う」とあったが、数字の1と読み間違える人が多発したので大文字に切り替えたという。1979年のことであるとあった。

 わが国では長年に亘って、リットルを筆記体のℓで教えていた。 これは害が多かった。外国では全く通用しなかったのだ。ようやく2006年になって、新指導要領で"L"を使うように改められた。
 ℓ(斜体)は物理、化学では、変数を表す時に使うので、困った存在であった。筆者は教科書を無視して"L"を使っていた。

 ところで、小学校2年でデシリットルという単位を習ったが、筆者は過去の人生で一度も使ったことがない。読者の中で、使ったことがあるという方はお知らせ願いたい。
 こんな役にも立たないことを、どうしていつまでも教え続けるのだろう。

 デシという接頭辞は、航空工学では出てくるらしい。揚力の計算では大切な単位なのだそうだ。翼の平方デシメートルあたりの力を計算するのだ。また、めっき業界では電流密度をA/平方デシメートルで設定すると聞いた。
 センチリットルというのはヨーロッパではよく使っている。日本に輸入されている酒の瓶には75cLなどと書いてある。チャンスがあれば確かめて見られよ。 
 もう一つ、アンプのゲイン(増幅器の利得)を表す時にデシベルというのがある。もちろんベルは人名だから大文字で、dBと表す。
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結露

 歯医者に行った。例の首の曲がった鏡で歯の裏側を見てもらう。その鏡が温かい。体温プラス5度くらいに保温した箱から出して使う。やけどはしないが、少々温かいという温度だ。
 なぜ温めているのだろう。冷たいものを口の中に入れるとびっくりする患者がいるからだろうか。

 答えは結露防止である。口の中は37℃の飽和蒸気圧で満たされている。冷たい鏡が入った瞬間に曇って見えなくなってしまう。37℃以上であれば、絶対に結露しない。

 少々寒くなってきたので自動車の運転時に前面ガラスが曇ることがある。風が当たる部分であるからよく冷えて、人間の出す息、皮膚から出る蒸気、濡れた服から出る蒸気がそこに結露する。
 その結露を防ぐ方法はいくつかある。風通しを良くして水蒸気をすべて外に運び出すのが一番簡単だ。しかしそれでは風邪を引く。
 室温を上げると空気の含む水蒸気量が増えるので、冷たい前面ガラスに結露しやすくなる。前面ガラスの下から、外気を吹き出す装置がある。外気そのままでは寒いので、エンジンの廃熱で温めて出すようになっている。デフロスタ defrosterという。霜も溶かすことができる。そうするとガラスの内側が温められて飽和蒸気圧が大きくなり、室温での飽和蒸気圧をはるかに凌ぐようになる。それは歯医者の鏡と同じである。

 ガラスの熱伝導率はそれほど大きくないので、これが可能だ。ダイヤモンドでは不可能である。

 前面ガラスはこの方法で良いが、その他の部分のガラスはたちまち曇る。これを防ぐには、エアコンを掛けて、ガラス内面よりもっと冷たい部分を作る必要がある。そうすれば室内の水蒸気はエアコンのエヴァポレイタ evaporatorの表面にことごとく吸い付けられ、車外に排出される。もちろんそのままでは凍えてしまうので、エンジンの廃熱で再加熱して車内に放出する。

 自動車にエアコンが標準装備されたのは30年ほど前で、それ以前は結露防止は非常に大事な項目であった。後面ガラスの曇り止めには、古来電熱線を用いている。はじめは電熱線をガラスに埋め込んでいたが、ヒビが入りやすかったので導電性塗料を細く塗って、それに通電した。それをデフォッガ defogger という。
 自動車工場では、零下の部屋で雪を何センチかの高さに積み上げて、通電で溶かすことができるかをテストする。 

 筆者は最近戸惑うことがある。筆者は20年弱乗った緑色の車をやめて、超低燃費のプラグインハイブリッド車に乗り換えた。動き始めはエンジンが全く回転しないので、エンジンからの熱供給がない。ヒーターも効かないので、シートヒータで我慢する。座席の体に接触する部分だけを温めるのはわずかの電力で良いので、それは作動させているが、つま先が冷たいのは困る。ガラスが曇るのでデフォッガを掛けると、エンジンが始動して熱を作り出す。しかしそのエンジンは熱供給だけのために回るのであって、走行には使われない。もったいないような気もするが、燃費向上のためにはそれが良いのだそうだ。よくわからぬ話だ。
 結局のところ、筆者は「もったいない」を優先して、震えながら冷たい外気を導入して曇らせないようにしている。
 
 

'''理論化学編刊行 '''

長らくお待たせしていたプラグマティック化学・理論化学編が
発売されます。
今晩リリース予定です。試運転は終了しまして、サーバーの切り替えを待っています。

 Bitcashというプリペイドカードをファミリーマートなどで購入して、その16文字のコードを入れてください。すぐ読めます。自分で決めたパスワードは忘れないようにしてください。「忘れたので助けてください」という人が、多いのです。
 ダウンロードしてファイルをハードディスクなどに格納すると、早く読めます。

 今回の発売が約2週間遅れましたことは誠に申し訳なく思っています。私が自分でソフトを組んでいるわけではないので、隔靴搔痒の感がありました。

 理論編は、やや高度な概念も含んでいますが、言葉を簡単なものに言い換え、高校生が読んでも理解できるようにしました。実験の意味について、かなりの紙幅を割きました。
 また、他の参考書にある間違いを正さねばならないという使命感も、この執筆の原動力になりました。

 多くの元生徒さんや同僚の講師から、アドヴァイスを戴きました。感謝の意を表します。

 誤植などがないように念を入れて見てはいるのですが、筆者には粗忽なところがあるので、お気づきの時はお知らせください。直ちに修正します。


メディア・リテラシー

 日本ではメディア・リテラシーについてそれほど意識が高くないと感じている。

 諸外国では学校でかなり突っ込んだ教育がなされている。メディアとは新聞、放送、その他の出版物、インターネットの情報などのことである。
 活字を信用するなということは昔から言われていることであるが、テレビ、インターネットの影響力が大きい現状を考えると、我が国の学校でももっと細かい指導があってしかるべきである。
 カー・ナビゲーションに従って進んで山道で落命した事件を見ると、もう猶予は出来ないところまで来ていると思う。

 15年ほど前、インターネットがこの世に現れ、かなりの人が使うようになたとき、アメリカで印象的な事件があった。中学校の先生が宿題として、「ナチスドイツのユダヤ人への迫害について調べてきなさい。」という課題を与えた。
 提出された紙を見て先生は驚いた。全ての紙には「ナチスドイツはユダヤ人を迫害したことはない。アウシュビッツはでっち上げである。」とあったそうだ。
 当時の検索ソフトは稚拙であるから、子供たちは単純に検索数で上位にある物をピックアップして印刷して持って来たのだ。
 その後、検索ソフトはかなり改良されたらしい。

 筆者が頭を痛めているのは、ウィキペディアである。間違いが多すぎる。直しておいても1週間も経たないうちに元に戻る。書いた人間が、直されないように張り付いているのだ。英語版の間違いもたまにあるので修正しておくが、日本語版のような情けない状態ではない。
 英語版には、この種の仕事に携わる人にかなり名のある人が居るということである。彼らは、自分の責務としてこの種の仕事もしておくべきだと考えているようだ。日本版にはそういう人はほとんどいない。現状を知っているからであろう。ということは日本語版は、良くなりそうもないということだ。日本語版に投稿している人たちは若い。

 ある人が面白いことを言った。
「ウィキペディアは娯楽です。」
 その通りなのだ。テレビのチャンネルを買えるようにパラパラと見て、面白いところを拾い読みすればよいのだ。信じてはいけない。「『あー、面白かった。』で終われ。」というのだ。そうかもしれない。

 Knowledge is from books, wisdome is from age.
という言葉がある。ある程度経験を積んだ大人が参加する時代が来ないと、ウィキペディアは使い物にならない。そういう日が来るのはいつだろう。 


理論化学編 間もなく発刊です。いまプログラムの手直しをしてもらっています。

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