ビンガム銅山の土砂崩れ

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 高等学校の地理の教科書に著名な銅鉱山としてBingham Copper Mine が載っている。もともとは山の頂上付近に見つかった鉱石(これを露頭という)の採取から始まって、どんどん深く掘って行った。
 40年前に行ったときは鉄道で掘り出していた。さしわたし2km×4km、深さ1kmのすりばち状の穴の中に、500kmものスパイラル線を敷き、下りは1日、登りは3日掛かって鉱石、岩石(ズリ)を掘り出していた。あまりにも低効率なので、30年前にスリバチの底から、精錬所まで直行するベルトコンベアのトンネルを掘った。20年ほど前に線路を外し、全て巨大なダンプトラックで土砂を運び出して、周りの山に積み上げた。
 現在は穴の深さは1.5kmに達している。図は筆者が聞いた話を描いたもので、実際の姿を現しているわけではない。

 今年の2月にその積み上げた岩石が崩れ落ちた。その量たるや、想像を絶する量で、ニューヨークのセントラルパーク(3.4平方km)に19m強の高さまで積み上げた量だそうだ。幸いにも深夜のことで人的被害は無かったそうだが、360トン積みダンプ(2階建ての家より大きい)とか、一掬い150トンもある巨大なパワーショベル(5階建てのビルより大きい)がたくさん埋まっている。写真の白いダンプカーの写真はLIEBHERR社のカタログからお借りしている。

 知らずに現場まで行って、Visitor Centerに行くつもりだったが、守衛に制止されてしまった。あと二年は見ることができないだろうと言う。
 
 この鉱山は低品位鉱山で、銅の含有率が多くない。銅価格が高騰していたベトナム戦争の時期には羽振りが良かったが、その後の景気低迷で産出コストを下げる以外、生き残る道がなかった。それで鉄道からダンプトラックに切り替えたのだ。
 この写真を見る限り、元の山を掘った部分(地山という)と積み上げた部分との勾配が同じに見える。積み上げた土砂等が崩れない角度を「安息角」という。地山と安息角が同じであるわけはない。いくら雨の降らない砂漠の中とは言え、見積もりが間違っていたのだ。

 精錬所は穴から数Kmのところにある。冬にはそこから出る煙が盆地の底に溜まってしまうので、煙突がとても高い。370mもある。気温逆転層を超えて高いところから煙を出さねばならないからだ。地震が無い地方なので、すっきりとしたコンクリート製の煙突である。

 この鉱山の作業の様子を紹介するビデオである。多少の脚色があるが、9割くらいは正しそうだ。
https://www.facebook.com/photo.php?v=428080020545733&set=vb.322129257842554&type=3&permPage=1

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天然のソーダ灰

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 アメリカに行ったついでに、天然資源の採取方法を見るのが趣味である。鉱山巡りは興味深い。

 今回の目的地はワイオミング州グリーンリヴァである。コロラド川の支流が流れる砂漠の中の補給地であった。大陸横断鉄道開通時には、ここで蒸気機関車に給水した。

 ここに世界最大の炭酸ナトリウム鉱山がある。炭酸ナトリウムはソーダ灰とも言い、ガラスの質量の半分を占める。天然品が大量に見つかる前は、Solvay Processソルベー法によって作られていた。その中で循環使用されるはずのアンモニアは、分子量が小さく、漏れて損失が多かった。それならばと、回収を諦めて、アンモニウム塩として出荷する、塩安ソーダ法も広く行われていたのである。

 1938年石油や天然ガスの試し掘削をしていたところ、このあたりの地下にかなりの厚さでTronaトロナ鉱が埋もれていることが分かった。戦後徐々にその探索の範囲を広げてみたところ、莫大な量のトロナ鉱が埋蔵されていることが判明した。ある文献によると人類があと5万年使い続けられるほどだそうだ。

 大陸横断鉄道のすぐ脇であって、運び出すにも便利で、ヨーロッパへ、アジアへと船積みして出荷される。精製工場の場所など地図には載っていないから、衛星写真とGPSを使って位置を割り出し、直接乗り込んだ。Visitor Centerはないか?と聞くと無いと言う。見学は受け付けないそうだから、引き下がる途中で写真を撮った。公道上だから文句は言われない。FMCというのはFood Machine Co.の略だったそうであるが、現在はその原型を留めていない会社になった。

 湖の様になっているのは蒸発池である。地底から掘り出したトロナ鉱を水で洗い、それを蒸発濃縮する。水はグリーンリヴァからパイプラインで運んでくる。
 最終濃縮過程で使う石油などは近くで掘り当てたものを使っているそうだ。土地のある国はうらやましい。

 一編成125輌の貨物列車は2万トン弱もある。長過ぎて、ブレーキが効くまでの時間差で事故が起こりうる。無線でつないだ複数の機関車を、列車の中に割り込ませている。こうすれば、ほとんど同時に列車全体にブレーキが効く。

 化学の教科書にはソルベー法が仰々しく記載されているが、もうほとんど行われなくなった。産業とはコストとの戦いであるから、天然品の方が安いとなれば、雪崩をうってそちらに向かってしまうのだ。

 トロナ鉱は炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムが1:1に結合した鉱石で、人工的には作ることができないものである。これが数メートル以上の厚さで延々と広がっているのだそうだ。地下をシールド工法の掘削機に似た機械で掘って巨大トンネルを作り、そこから四方八方に穴を開けて高圧水を流し込む。そうすると全体を掘らなくてもほとんどのトロナ鉱を溶かし出すことができるのだそうだ。成分が溶け出すと岩は脆(もろ)くなるので、トンネルを油圧で支えながらの作業である。

 アポイントメント無しで行ったので、多少迷惑を掛けただろうが、こちらの質問が面白かったらしく、大笑いする場面もあった。答えてくれたJim氏に感謝しつつ工場を出た。

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