鋼の工具のかけらを取り除く

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 機械工作が趣味である。色々なものを金属素材から作り出すのだ。先日、天井についている扇風機が壊れた。羽根を付けている根元のプラスティックが劣化し、割れてしまったのだ。
 それを外し、採寸してアルミ合金と黄銅を組み合わせた部品に置き換えることにした。旋盤という機械で黄銅の丸棒を削り出し、ネジを立てる。特殊鋼で出来たタップという刃物をねじ込んで、雌ネジを立てるのだ。そこに、羽根を付けるアルミ合金で作った円盤を、ネジで締めつける。

 4本あるネジ穴の最後で、タップを折ってしまった。外部からはそれを取る方法はない。そこで化学的な方法に依ることにした。

 プラスティック容器に海水程度の食塩水を入れる。そこにステンレスの籠を入れ、その中に黄銅部品を放り込んだ。そのまま待つこと3日で特殊鋼の刃物はきれいさっぱり無くなってしまう。塩水は赤さびで濁っている。この方法は筆者の考案であり、ある分野の業界では常識となっている方法である。

 この図を見ればよくわかると思うが、ステンレスの電位が高いことを利用して、局部電池を形成するのだ。鋼材は早い話が鉄合金である。鉄の電位は低く(二価の陽イオンになって溶け出し易い)、しかもそれは水中で酸素によって酸化されて三価の陽イオンになり、水酸化物が沈殿する。沈殿すれば二価の陽イオン濃度が小さく保たれ、平衡は移動しやすい。というわけで、刃物は急速に溶けて行く。僅かに含まれる炭素が残るだけである。

 これを紹介した当初はうまくいかないという苦情が相次いだ。話を聞いてみると、ステンレス容器中で行うと書いておいたのに、磁器製容器中であったり、プラスティック容器中であったりした。勝手な変更をするものだから、こちらが考えた電位差が出て来ない。ステンレスだからこそうまく行くのである。容器でなくても、この写真のように金網でも良い。要はステンレスと接触していることが大事なのである。食塩は単なる電解質で、イオンの移動速度を大きくしている。黄銅は鉄ほどイオン化しやすいわけではないので、完全に生き残る。

 この理屈が分かれば、ステンレスと鋼製の部品とを接触させるのはまずいということがお分かりだろう。乾いていればよいのだが、この国は多雨の国である。雨は隣国からの浮遊物質を含む酸性雨である。理想的な電解質であって、ステンレスは残るが鋼は錆びて消滅する。

 近くの上水道の施設の見学会でそれを指摘するのだが、何も分かっていない。結局は我々が鉄イオンの多い水を飲むことになる。

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サラダ油

 もう50年以上も経ってしまったが、今でも鮮明に思い出す。
 筆者の小学校1年生の時に冷蔵庫が我が家にやって来た。それは近所でも早い方であった。それまでは、妹が熱を出した時は氷を買いに行かされていた。「氷を1貫目」と言って買い、籠に新聞紙でくるんだ氷を入れて、急いで持ち帰った。氷嚢(ひょうのう)に入れた残りを口に入れて、その冷たさを味わった。それは夏には珍しい経験であった。

 冷蔵庫があると、家でも氷が出来ることは驚きであった。もう急いで買いに行くことも無くなったし、欲しければ製氷皿から外して取れば良かった。
 ある暑い日、母親が「今日はサラダを冷たくしておいたから、楽しみにね。」と言った。ところが、それを食べた家族全員が、「このサラダはおかしい。」と感じた。何かざらざらした感触があって、とても食べられなかった。
 母は「おかしいわねえ。いつも通りで何も変なことはしていないのに。」と言った。夕食後残ったサラダを片付けるときに、念のために一口食べてみると、いつも通りのサラダであった。
 父は、「温まると元に戻ったんだから、油の中の何かが固まったんじゃあないのかな。」と言った。母は「そうかも知れないわ。やはりサラダ油を買わなきゃ駄目なのよね。この辺じゃ売ってないのよ。」と答えた。筆者は、「サラダ油ってなあに?」と聞くと父親が説明してくれた。「きっと低温でも固まらない油なんだよ。少し高いんだ。」

 当時、我が家で使っていた油は菜種油であった。それで炒め物、揚げ物、サラダを作っていた。菜種の実も見たことがあって、それをつぶすと油の滲みが出来ることも知っていた。菜種油は、冬には何か下の方に固まっていたような気もした。
 筆者はある考えに辿り着いた。「それなら、菜種油を冷蔵庫に入れておけば固まる物は固まって、残りを取ればそれは冷蔵庫でも固まらない油だけになるんじゃない。」

 それを聞いて、父は「そうだ、その通りだ。」と叫び、母は、「あなた賢いわね。」と褒めてくれた。その後しばらくは、冷蔵庫の中に油を満たした瓶がいつもあった。半分位は沈殿が出来て白くなった。その上澄みを取ってサラダに使い、残りは炒め物等に使っていた。母はその工夫を友人に伝えて、随分感謝されたようだ。

 何年かすると、サラダ油というものがごく普通に手に入るようになり、そのようなことをしなくなった。欧米では、冬の間保管した油樽の上澄みを使ったようだ。
 現在、サラダ油は工業的には次のように作られる。精選した植物油を低温倉庫に保管し、沈殿物を取り除くのである。この操作をWinteringという。要するに、ひと冬過ごさせるのと同等の効果を与えるのである。

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