シクロヘキサンの柔粘性結晶

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 シクロヘキサンを凍らせたものを見るチャンスは少ないだろう。

 実験室をひとつ閉鎖するので、中のものを始末した。実験道具は近くの公立学校の校長に話をしたら、大量に貰ってくれた。薬品はあちこちの大学や高校に連絡して少しずつ寄贈した。
 しかし、使い掛けの薬品はある程度は廃棄さざるを得ない。半分位残ったシクロヘキサンの瓶を見てピンと来た。シクロヘキサンを凍らせると面白い固体が出来ることを思い出したのだ。早速家に持ち帰った。

 ベンゼン(融点5.5℃)を凍らせるとざりざりした結晶が出来る。ところがシクロヘキサンはそうではない。軟らかい塊りになるのだ。融点は6℃ほどであるから、朝方の寒さで十分凍る。玄関先に放置しておいた。

 翌朝見ると、見事に凍っている。太い金属棒を突っ込んで押してみると軟らかい。なんと表現したら良いのか分からない柔軟性である。
 棒に力を入れると、ずぶずぶと沈みこむ。これを飴状と言うのだろうか。おそらく外に出せば自分の重さで形が変わるだろうと思われる程度の軟らかさである。このような結晶を「柔粘性結晶」Plastic Crystalという。分子の三次元的な位置にかなりの規則性があるが、分子の向きに規則性が無い状態なのだ。

 デジタル温度計があったのでそのプローブ(測定用の検知棒)を突き刺してみたところの写真である。
表示は6.3℃と読めるが、多少の誤差は仕方がない。文献値は6.47℃である。

 次の写真は浮き上がっているように見えるが、本当は沈む。液体より固体が軽いものは水だけだろう。
この写真はうっかり倒してから撮ったので、泡が入り込んで浮力を与えている。

 このヘキサンの結晶は、結晶と液体の中間的な物質であるが、うんと冷やせば(-100℃近辺)正しい結晶になる。

 結晶と液体の中間の物質には液晶もある。液晶はデジタル機器の表示用として大量に使用されている。
 液晶は分子の三次元的な位置には規則性がほとんどないが、分子の向きには秩序がある状態である。その秩序を、電圧を掛けることによって変化させることができることを利用しているのだ。

 柔粘性結晶は用途が見つかっていないので、注目を集めないが、なかなか面白そうなものである。他には四塩化炭素も同じようになるが、やや温度が低く素人には実験しにくいだろう。

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