隕石孔

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 先日のロシアの隕石騒ぎで思い出したことがある。

 数年前、アメリカアリゾナ州にあるバリンジャ隕石孔を見に行った。たまたま通る道のすぐ脇(と言っても数十km脇)にあったので寄ってみたのだ。子供の時から、科学雑誌で写真を見るのだが、どこにあるのか詳しい場所を知らなかったのだ。前の日たまたま見た地図で見つけ、あまりにも近いので寄って見たのだ。この写真はWikipediaに投稿されたものをお借りしている。英語ではMeteor(流星)というが、この発音は、ミーティアに近い。

 約10万トンほどの隕石が落ちて、生じたクレータは砂漠の中であるからそのまま残っている。日本にも隕石孔はいくつかあるらしいが、多雨の国であるから、浸食を受け、植物の繁茂によって全く分からなくなっているものばかりだ。
 この隕石が落ちたのは5万年くらい前だ。海に落ちれば大津波が起きただろうが、砂漠の中であったがゆえに、地球全体にはさほどの影響を与えなかったのであろう。
 このあたりの砂漠の中には、たまに隕石孔がある。これほど大きいものは少ないが、直径200m位のものはたくさんある。道路わきにあって、誰でも見られるようになっている。地球上にはかなりの数の隕石孔があることになる。
 

 この隕石孔には博物館が併設されていて、ボランティアの人が居る。親切に色々と解説してくれた。中にはジョークを交える人もいる。

「この隕石は今から50,002年前に落ちたのです。」
「どうしてそんなに正確に分かるのですか。」
「いや、私はここに2年前から来ているんだよ。ここに来た時に5万年前に落ちたと聞いたからね。」

 私は腹を抱えて笑った。彼は満足そうだった。
「こういうことを聞いて、大笑いしてくれる人は20人に一人くらいかな。」

 数値計算の時にこの種のミスに気が付かない人が居る。大体20人に一人位である。

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パチンコ屋とレーザー

 最近は見ないが、昔のパチンコ屋は必ずと言ってもよいほど軍艦マーチを流していた。国電駅の前のパチンコ屋の横で待ち合わせをしている時、筆者の眼は歩道橋に釘付けとなった。
 揺れているのである。

 軍艦マーチが流れると、そこを歩く人たちの歩調がどういうわけか合ってしまう。条件反射であろう。たまたまその歩道橋の固有振動数の整数倍か、整数分の一に近いリズムなのだろう。人が通ると激しく揺れ、通らないと揺れは止まる。そのうち激しく揺れて落橋するのではないかと心配した。
 大人が通ると一人でも必ず大きく揺れる。子供たちが走ると人数は多くても揺れは小さい。やはり歩くテンポに関係があることは確かめられた。
 幸いにも朝の通勤時間帯にはパチンコ屋は開業しておらず、問題は無かった。夕方は歩く人が分散するので、それほど大きな問題ではなかったようだ。朝は一度に多人数の人たちが歩くので、その人たちがその歩道橋の固有振動数に合わせて歩くとかなり危ないと思った。

 亡くなった叔父の話によると、昔イギリスの兵隊が整列し、足並みを揃えて橋を渡ったところ橋が落ちたという。
その分析結果は、やはり橋の固有振動数に因るものだったそうだ。それ以来、イギリスの陸軍では橋を渡るときは、「足並み乱せ」という号令が掛けられたそうだ。

 この足並みのそろった光がレーザーである。普通の光は足並みの揃っていない兵隊と同じである。だからこそレーザーの威力は大きい。

 つい最近、上半身のある部分の手術を受けた。レーザーメスで切るのだ。音もなく皮膚はすぱりと切れ、血液も凝固するので止血する必要が無いらしい。
 その時魚を焼くような臭いが手術室に立ち込めた。人間の体はタンパク質でできていると実感した。

数値計算

 受験の季節が近づいている。生徒さんが深刻な顔をして聞きに来ることが多くなった。この季節になると一番多いのは有効数字の扱いである。
 昔書いた原稿のコピィを示し、説明するとたいていの人は納得する。そこで余裕のありそうな生徒さんには、こういう質問をする。
「四捨五入って正しいのかい?」
 ほとんどの生徒さんは疑問を持っていないようだが、これを聞いた瞬間にピンと来る生徒さんも居る。筆者の同類を発見した瞬間だ。

 筆者は小学生の時にそれを習ったが、納得できなかった。5はちょうど中点である。それを切り上げると、たくさんの数字を処理すれば必ず大きい方に傾くはずだ。教師にそれを言うと、
「妙なことを言うな」
というたしなめられ方をされた。

「四捨五入をすればよいのだ。」
とは言われたものの、釈然とせず、テストでは、最後の桁の5をそのままにした。当然点数はもらえず、その学期の算数の成績はかなり下がった。

 その後何年か経って、大学生になった。物理学実験の時に繰り返して測定したデータを処理するとき、先生に思い切って聞いてみた。
「四捨五入すると数値が大きくなっていくのですが、良いのでしょうか。」
 すると、その若い先生は、
「お前、良いものを持っている。調べてみろ。」とおっしゃった。
「調べたいのですが、何を調べたものやら、図書館に行ってもよくわからないのです。」と言うと、
「ヒントは、JISだ。それで調べろ。」

 図書館でJISの資料を見た。全70巻程度あって、間口は2メートル以上あった。その最後の方に「統計」という巻があって、そこに書いてあることは驚愕する内容であった。

「四捨五入をしてはならない。四捨六入をする。五はその前の桁の数字が奇数のときは切り捨て、偶数のときは切り上げ」と書いてあったのだ。これなら、統計的に、より適当な値になる。

 小学生の時にこれを知っていたら、あの教師を凹ませてやれたのにとは一瞬思ったが、そんなことはどうでも良かった。何か凄い力を得たような気がした。先生に報告すると、「俺も昔は疑問を持っていた。数年に一回、同類と出会えるので、それが楽しみさ。」とおっしゃった。
 その後もその物理の先生には大変お世話になったが、10年ほど前亡くなった。

 その後アメリカでこの種の数値の丸め方(英語で rounding と言う)を Banker's rounding と言うことを、世話になった銀行家から聞いた。大量の数字を扱う職場では不可欠の処理だったようだ。
 小学生のころ、 四捨五入はきっと商売人が考えた方法で、儲けるように出来ているのだろうと思ったが、銀行は意外と中立であった。

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