次亜塩素酸ナトリウム

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 もう30年も経つ。M県Y市で興味深い事件が起こった。タンクローリーで次亜塩素酸ナトリウム水溶液を配送した運転手が、何かの間違いでその液を浴びてしまい、すぐに脱いでシャワーを浴びた。濡れた服はそのまま乾かしておいた。別の仕事が終わって、乾かした服を着て3歩歩いたところで、そのズボンが爆発したのだ。ズボンのポケットに花火を入れておいてそれが爆発して火傷した、などというのは聞いたことがあるが、ズボンそのものが爆発したのだ。警察は原因不明の爆発事故として捜査に乗り出したが、ちっとも進展しなかった。筆者はそれが「不均化」による塩素酸イオンの生成であると気が付いたので、M県警察本部の鑑識課に電話した。

「フキンカですか?」
「漢字はね、親不孝のフ、均一のキン、化け物のカです。」
「これはどういう意味ですか?」
「あなたは化学を勉強したことありますか。」
「高校の時にやりました。」

 はっきり、「したことない。」と言えばよいものを、と思いつつ、電話代を無駄にしながら説明した。全く分かっていない。

 3ヶ月ほど経って、また同じ市内で全く同様の事件が起こった。新聞は「またもや原因不明の爆発事故」と書き立てた。
 季節は夏で、すごく暑い日であった。この温度が曲者である。次亜塩素酸は酸化数が+I であるが、pHを大きく保っていないと不均化しやすい。布に含まれた状態で空気に触れると、空気中の二酸化炭素でアルカリ分が中和され、pHが7に近づくだろう。温度が高いとこの反応は起こりやすい。出来た塩素酸塩は火薬の材料である。いわゆるカーリット系の火薬で、これは爆発しやすい。
 火薬というものは二つの相反する条件を満たさねばならない。爆発してほしくないときには決して爆発せず、爆発してほしいときには必ず爆発せねばならない。カーリットは前者を充たしにくい。

 さて、ズボンは有機物であり、塩素酸イオンがまぶされている。それを穿いて歩けば、股の部分の摩擦は、発火に十分なエネルギーを与えたのだろう。ズボン全体が火薬であるから、激しく燃焼し、一部は爆発してしまったのだろう。

 この事件はその後半年も経ってから、M県警察本部からその原因が発表された。独自の調査によると言う。なんか変な話だ。税金がドブに捨てられていると感じた。

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カビとりスプレー

 我が家の風呂の壁は全て木でできている。サウナのような感じで評判が良いのだが、取り扱いはむずかしい。筆者は気を付けて入っているが、殊(たま)の来客はそんなことは無頓着であるから壁や天井が湿ってしまい、うっかりするとカビが生える。

 年末は大掃除の時期である。カビを取る最も良い方法は次亜塩素酸ナトリウム水溶液(いわゆる塩素系サラシ液)を付けることである。アルカリ性が強く、タンパク質を分解すると同時に酸化剤が遺伝子を壊すから、根こそぎやっつけることができる。以前は、それを刷毛に付けて丁寧に塗っていた。壁は良いが天井はなかなか難しい。粘り気が無いので、ぽたぽた垂れ、手がぬるぬるした。目に入ると失明するかもしれない。

 10年ほど前からスプレーが出来たので、便利になった。斜め下から吹き付けるので難しくない。ある程度吹き付けて、車を洗うような大きなブラシで拡げる。30秒ほどでカビはつるりと取れ、気分が良い。
 さらに5分ほど待ち、シャワーで水を掛けて完全に洗い落とす。古いタオルで拭き取れば出来上がりである。これでほとんど完璧で、1年以上全くカビは生えない。
 カビを取ってから、亜麻仁油を薄めたものを塗ると、3日ほどで固まり、耐水性になる。

 これが我が家の風呂である。夏は使用後に窓を開け、外に熱を逃がしたのち、窓を閉じ、室内側に湿気を逃がす。室内はエアコンで湿気を取ってあるので、すぐカリカリに乾く。冬は、熱も湿気も室内側に逃がす。多少の加湿が出来るし、熱回収にもなる。
 いずれの場合も非常によく乾くので、きちんと管理していればカビが生えることは無い。このシステムを理解していない人が使うと、湿気が閉じ込められてカビが生えることになる。

 今回は5年ぶりくらいのカビ取りであったので、スプレーをしたのだがちっともきれいにならない。液を出して確認すると、例の塩素臭(正確には酸化塩素(I)臭だろう)がしない。保存中に次亜塩素酸イオンが還元されてしまったのだ。考えてみれば、その液の中には界面活性剤も含まれていて、それは有機物であるのでそれを酸化してしまうのであろう。一応冷暗所にしまってあったのだが、5年は長過ぎたようだ。

 仕方なく新しいものを求めた。効果は抜群で、あっという間に作業が終わった。この作業をするときは作業用のぼろいシャツとズボンで行う。液が付くと、たちまち色が抜けてしまうからだ。また、庇の長い帽子とメガネをかけて行う。目の防護は大切だからだ。

 この種の次亜塩素酸塩はキッチン用品の漂白、殺菌に使われているが、それも時間が経つと効果が無くなる。時々古いのを使っているのに遭遇する。それでは全く効果が無いのだが、やみくもにそれに浸ければ良いと信じている人が多い。酸化剤は保存が難しいということは常識なのだが、理屈を考えずに使う人は多い。臭いを嗅いでつんと来なければ、もう捨てるべきだろう。
 販売している会社も「試験紙」を付属させて、それで結果が出なければ廃棄するということを宣伝すべきだ。

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