アルミニウム

 パッシヴ・ソーラーハウスは窓から入った太陽の熱を貯め込んで逃がさないことが必要である。それには床、壁などの材料はなるべく比熱の大きなものが良い。
 比熱の大きなものは水が代表的である。アメリカでの成功例を見ると、家の中に黒い大きなプラスティックの樽を棚に積み上げたものをよく見る。これは家が広いから部分的にそれを置いてもさほど大きな問題にならないからで、日本の住宅規模でそれをやると住みにくいこと、この上ない。
 いろいろな成功例を見ると、アルミニウム鉱石のボーキサイトを床下に何十トンも入れて、その中に通風して熱を貯める話がある。ボーキサイトは比熱の大きな物質である。それは良い考えだと思い、いろんなところに聞いてみたが、ボーキサイトをせいぜい10トン買うというのは、商売としては話にならないことらしい。

 他の方法としては、アルミニウムの厚板を敷き詰めるという案もあったが、とても高価である。一番安かったのはアルミナをたくさん含む煉瓦で壁を作ることであり、床は30cmもあるコンクリートとした。その中を通風できるようにし、天井近くから暖まった空気を吸い込んで循環させた。この方法は安上がりであるにも拘わらず、大きな効果を発揮し、寒い朝でも前の日の日射が十分であれば、気温は21℃を割らない。
 朝起きた時に、裸足でぺたぺた歩ける環境はありがたい。

 アルミニウムの比熱は大きい。原子比熱(という概念があったが最近は誰も使わなくなった。)が大きいのである。同じ質量の鉄と比べると2倍以上の蓄熱量がある。
 アイロンの材料は40年くらい前から、アルミニウム製である。軽いのに良く熱を蓄えることができる。20年ほど前乗った飛行機のエコノミィ・クラスの食事トレイは、アルミニウムのヒートシンクが付いていた。料理が冷めにくいように電熱線を埋め込んだ5mm程度の厚みのアルミ板が、料理の下の部分にあった。トレイをギャレィで加熱するとき、電極を持ったカートに入れておくだけで、ほどほどに温まって冷めにくいというわけだ。
 軽いので飛行機の中で使用する機材として適する。しかし、最近はあまり見なくなった。

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続 煖炉の構造

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 作り付けの煖炉(開放型)は耐火材で出来ていて、家を建て始める前に基礎工事の段階から準備しなければならない。25年ほど前、煖炉の作り方は日本ではほとんど資料が無かった。アメリカで本を探し、建築現場を見せてもらって研究した。

 断面は、このようなものである。設計の妙は"Throat"という部分である。開放型の煖炉の場合、煙が逃げやすいようにと煙突を燃焼室の真上に付けてしまうと、空気の流通が良過ぎて家じゅうが寒くなってしまう。出て行く空気の量を最小にしつつ、煙は完全に排出したいのだから、何らかの工夫がいる。
 せり出した部分に沿って煙は上昇し、その"喉"の部分で絞られているので流速が増す。すると煙は吸い取られてしまうのだ。せり出し部分は加熱され、放射熱を部屋中にばらまく。
 この部分については色々な設計手法があるようで、耐火材で作られた一体構造の50kg位の質量のユニットがいくつか市販されている。それぞれがその流体力学的開発工程を謳っている。

 その上部には錆びにくい鋳鉄で出来たダンパがあり、これは通過空気量の最大値を決める。これは室内側から操作する。これを開け忘れて点火すると、家じゅう煙だらけになる。よく映画でそんな場面があった。

 灰箱の中には通気口がある場合が多くなった。これがあると燃焼の空気は外から取り入れられ、煖炉から遠い部屋が寒くなることもない。もちろん使わないときは閉じないと、ネズミなどが侵入する可能性がある。

 燃焼室の前にはHearthと言う部分がある。床が放射熱で暖まるとまずいことがあるので、下向きの放射熱を受ける部分である。ここはほどほどの熱さになり、なにか暖めるときにも使える。
 このHearthという言葉は、冶金用語でもあり、合金を融かす平炉を指す。それから派生して比喩的に「文化の中心」という意味にも使っている。

 その前には金網で出来た火の粉除けを置く。この金網は大きな火の粉を引っ掛けるものでこれが無いと絨毯に焼け焦げができる。この床の部分までは煉瓦で作るのが普通だ。

 火の粉が飛ぶような木は燃やしてはならない。煖炉で使用する燃料は樫(カシ)とか椚(クヌギ)、楢(ナラ)の様な広葉樹に限る。リンゴもよい。針葉樹を燃やすと、ぱちぱちと爆ぜてろくなことが無い。

 最近は密閉型の煖炉が増えてきた。鉄板で出来た二重構造で、送風機で隙間に風を送り、熱を回収する。前面は耐熱ガラスでできていて、炎が良く見える。燃焼室に効率よく耐火煉瓦が積まれていて、燃焼を助けている。
 この種の密閉型は、"zero-clearance type"と言って、可燃物の壁に接触させて設置しても大丈夫な構造である。先に述べた建築確認の役人はこれを理解できなかったのである。

煖炉の構造

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 実物の煖炉はどんな構造をしているのだろうか。ただ安全に薪が燃えている場所があるというだけではない。

 ガスバーナでガスを燃やすと炎の温度は1250℃位あるが、るつぼを加熱してもせいぜい1000℃くらいまでしか温度が上がらない。これはどうしてだろう。
 実は熱くなったるつぼからは多量の赤外線が出て、温度が上がらないのだ。熱くなればなるほど逃げる量も多くなるので、大体一定の温度で定常状態になりそれが1000℃くらいだ。
 そこでマッフルmuffleという耐火材で出来た筒をかぶせて加熱すると1250℃まできちんと温度が上がる。るつぼから逃げる赤外線の大半がマッフル内部で反射されて戻り、冷えにくいので、加熱する炎の温度に近くなる。

 煖炉の構造もこれに似たところがある。薪が広い空間で燃えていると、熱エネルギィは放射され、薪が冷える。すなわち燃えにくくなる。薪を互いに立て掛けて自立させ、中心部に火を付けると非常に良く燃える。これは発生した熱が放射されて互いを加熱するからである。外周部は冷えているが、内部が熱くなればいずれ燃えてしまう。

 煖炉の耐火煉瓦は蓄熱材であって、マッフルの役割を果たす。薪からの熱を吸収し、数百℃になっているので、冷たい薪を放り込んでもすぐ着火する。これが屋外の焚き火ではなかなかうまくいかない。要するに蓄熱材で囲んだ薪が蓄熱材とエネルギィをやりとりして、その余禄を前に居る我々に配分してくれるわけである。
 したがって、着火のテクニック習得にはある程度の修練が必要である。細かく割った薪を格子に組み、その上に太い薪を載せて、下から火を付ける。細い木が燃える間にある程度太い薪が熱くなり、可燃ガスを出し始めたら放置しても着火する。細い木が少ないと熱が周りに奪われて温度が上がらないから失敗する。着火したら、空気の量を加減して火力を増し、熱が耐火れんがに蓄積されるまで待つ。この間に薪の位置を変えると熱が逃げて失敗することが多い。

 調子良く燃えていると、耐火煉瓦は500℃ほどになり、太い薪を放り込んでもすぐに着火する。最初は可燃性のガスに火が付くので炎が出るが、いずれ炭化し、赤熱する。
 煖炉が燃えている時の最高の状態がこれで、炎が出ているのはまだまだの状態である。赤熱した炭は(これを日本語でオキという)多量の赤外線を発し、周りを暖める。 

続 煖炉

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 煖炉の煙突はどのようなものがよいだろうか。
 筆者の子供のころ、石炭ストーブというものがあった。煙が出るので、トタン板を巻いて作った煙突を付けていた。ストーブから縦に 1m ほど行ったところから、横に伸びてガラス窓の1枚をつぶして作った鉄板を貫通し、屋外に出る。そして垂直に伸びて、先端に屋根を付けた煙突があった。
 覚えているのは、最後の垂直部分の下からはタールが滴り落ちることだ。窓の下にはタールの溜まりが出来ていた。その理由は単純である。煙突が長く、板が薄いので熱が逃げ(室内では熱が回収されている)外の煙突ではタールが凝縮するからである。
 冬が終わると外の煙突はタールでべとべとであるが、室内側はつるりとしている。室内側はストーブに近いので煙の温度が高く、タールが凝縮しないからだ。
 それでも、万一室内側からタールが垂れるのを防ぐために、水平より僅かに外に向かって下げていた。

 薪を燃やしても同じようなことが起こる。煙突からの熱回収を熱心にすると、煙突が冷え、中にタールが溜まり、それは酸性であって煙突を腐食させ、煤を固めて詰まらせてしまう。
 煙突を詰まらせない工夫は単純である。煙突を保温して、熱い排気ガスをそのまま外の出口まで持っていくことである。熱回収の点では多少損であるが、保守が楽である。

 最近の煙突はこのような保温煙突が主流で、内外は耐熱ステンレス板、断熱材はシリカ系の物を用いている。煖炉の使用を止めている時、下から煙突を覗くと内部はつるつるでとてもきれいである。

 すなわち、耐火煉瓦を積んで煙突を作ると、煙突が熱くなるのに長い時間が掛かり、その間にほとんどのタールが析出し、煤がこびりつく。煙突掃除は避けられない。

 煙突の先端には鳥が入って来ないように目の粗い金網を付けると良い。筆者の家の煖炉には、スズメなどがよく落ち込み、中で灰まみれで暴れていることがあった。掴みだして煤を払ってやると元気に飛び立っていったが、きっといじめられたと思っていることだろう。

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