電力不足

 関東では大変な電力不足に陥っている。核反応による発電が30%以上を占めているのでそれがなくなると需要のピーク時は乗り切れない。今のところは何とかしのいでも夏の需要は大きい。最近の高層ビルは冷房前提で作られているので窓も開かない。冷房がなければ蒸し風呂だ。

 どうしてこのようなことになったのであろうか。新聞などでは全く論議されていないが、その原因は関東が50Hzを採用していることにある。静岡県の富士川を境にして東側では50Hz、西側では60Hzである。
 これは、初期に発電装置を輸入したのがドイツからか、アメリカからかということに起因する。関西はアメリカから買ったので60Hzである。

 日本のような小さな島国で、電源周波数が2分されているのは世界的に見てもまれである。もし関東が60Hzなら、電力は他の電力会社から融通してもらえる可能性が高い。この非常時を転機として関東も(少なくとも東京エリアまでは)60Hzに転換するのが賢明である。
 このままの調子で行けば2年間は停電が続くという。それならば、それまでに徐々に60Hz化するのがのぞましい。

 大手の工場では、「コジェネ」Co-Generatorと呼ばれる可般式の熱電同時供給装置を持っているという。大型トラックに積める程度の大きさで大きな工場を動かすほどの電力を発生する。もちろんガスタービンで石油を燃やすので、何台かのタンクローリを接続する必要がある。これをもっていけばかなりの発電が出来るが、それらは60Hzであるものが多い。

 退役した原子力空母を東京に曳航して発電すれば、2万世帯くらいの発電量があるという試算もある。しかしこれも60Hzである。

 どう考えても50Hzにこだわるのは賢い考えとは思えない。 

《数字の間違いがありましたので、修正しました。ご指摘ありがとうございました。》

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元素と単体

 早速コメントがいくつか入っていた.
 その前に原稿を書いて投稿したのだが、うまくUPできなかった。どうやら計画停電にひっかかる時間帯のようである。思い切って時間をずらして投稿してみた。
 停電スケジュールは、日本では事前に発表になる。以前カリフォルニアで経験したのは、全くの無予告であった。事前に分かると犯罪準備をする輩がたくさんいるからである。その点、日本は多少なりとも治安が良いということになる。しかし防犯装置が停電中でも作動するのであろうか、心配である。

 さて話題のヨウ素は元素名である。決して単体名としてつかわれているわけではない。ハロゲン単体が、自然界に存在できるわけがないのだ。ウランから生じるヨウ素131は半減期(英語でHalf Lifeということは覚えておこう)が8日である。ということは一月も経てば1/16になる。
 生成量が少ないので、事故の日は多少あってもすぐなくなっていく。さすがに水道水にたくさん含まれていれば飲みたくはないだろうが、ここまで低濃度であれば、煮沸しても追い出せない。本当に高濃度のときは、瓶詰めの水を飲んだほうが良い。しかし今回はそれほどでもないということを報道すべきである。

 水道には塩素が含まれているから、ヨウ素は単体になると思う人もいるだろうが、その問題のヨウ素イオンがほとんどないので、二個の原子が遭遇してヨウ素分子になる確率は低過ぎる。

 ヨウ素剤を飲むのはどういう意味かというと、チェルノブイリなどの事故で放出された高濃度のヨウ素131を吸収した場合、半減期が短いということは崩壊する原子数が多いので、甲状腺に集まったヨウ素が悪影響を与える。体内被曝を起こすのだ。事前に大量のヨウ化物イオンを飲んでおけば、安全なヨウ素が甲状腺を飽和するので新たな吸着を防ぐことが出来るはずという趣旨である。

 それを勘違いして、うがい薬のイソジンなどのヨウ素液を飲む人も出るようだ。これは殺菌剤で、単体のヨウ素を溶かしたものだ。当然人体には有害だ。致死量も分かっているようだ。
 ヨウ化ナトリウムの錠剤を飲むように指示した役所があったという報道もある。何を勘違いしたのかわからないが、これは極端に高い濃度のヨウ素131が降り注ぐことが確定したときだけに意味があることで、今回のように低濃度の時は無意味だ。また、チェルノブイリの辺りのように、ヨウ素が元々少ない地域ではこれを飲むと効果があるだろうが、日本のような国では海藻をたくさん食べているので、すでにヨウ素を過剰摂取している。だから、あわてて飲んでもあまり意味は無い。

 セシウム137は半減期が長いので、これが降り注ぐと困ったことになる。幸い今回の事故では放出量は少ない。
 一部の新聞には、「セシウムはイオン化傾向の大きな銀白色の金属であり、水と激しく反応して水素を発生する。」とあった。いったい何が言いたいのか、書いた本人も分からないのであろう。単体が煙を上げながら降ってくるとでも思っているのだろうか。

 自然界の放射線量は、関東では関西に比べて少ないのだそうだ。これは関東ローム層によるものであるという。数メートルの厚さで地中からの放射線を遮蔽している。その点においても、今回の事故による放射線の増加比率の基準をどこにとるかは、考慮すべきかもしれない。

放射能 と 放射性物質

 シカゴでの会合に出ていて、筆者の発表の日に、日本の大地震と大津波を知った。未曾有の大災害で被災された方には心よりお見舞い申し上げる。
 仙台空港が津波で押し流される場面を見て、友人が勘違いし、「お前は当分帰れないから、俺の家に来い。部屋が余っているから心配するな。」と言ってくれた。異国での親切には涙が出る。
 
 さて現地で福島原発のニュースを見ていて、いくつか気になるところがある。まず、しばらく聞かなかった単語の"Nuke"が頻発されることだ。発音は「ニューク」ではなく「ヌーク」に近い。
"Nuclear”は「核」であるから、本当は核発電所といわねばならないところを、50年ほど前、原子力と書き換えたのは姑息な表現法である。原子の組み換えによりエネルギを得るのは火力発電であるから、本来火力発電所は原子力と名乗った方が正しいはずだ。

 ニュースでは"radioactives"と "radioactivity"との区別を正しく付けていた。
 ところが日本に帰って空港でいくつかの新聞を見るとそのあたりがめちゃくちゃである。前者は放射性物質、後者は放射能であり、後者は抽象名詞である。

「放射能を浴びる」というきわめて怪しい日本語がある。50年以上前、ゴジラの誕生からその言葉が使われている。放射能は放射線を出す能力であるから、浴びることができない。浴びるのは放射線である。

 12年ほど前茨城県東海村の臨界事故があった。そのときの報道中の用語の誤りががあまりにもひどいので、筆者は各新聞社に同様の手紙を送り、区別をつけるように要請した。いくつかの新聞社からは礼状が来、その後の報道は正しくなった。それから12年、今回の事故報道ではまたもやおかしくなっている。
一番おかしいのは産経新聞で、第一面に「放射能」の言葉が乱立している。どれを見ても「放射線」「放射性物質」と書き換えるべきものである。

 新聞記者には核物理、核化学に対する理解がほとんどなく、むやみに不安を煽り立てている。今回の事故では地震発生と同時に制御棒が差し込まれ、核分裂は事実上停止している。この部分が全くと言ってよいほど報道されていない。核爆発など起こり得ないのである。問題は停止後の余熱である。冷却装置が壊れたので内部は熱いし、それまでの核分裂で生じた寿命の短い放射性物質が崩壊する熱も生じ、温度が高くなる。"Meltdown"(炉心溶融)を叫ぶ新聞もあったが、酸化ウランの融点は3000℃ほどであるからそれも起こらない。燃料棒を被覆しているジルコニウムの融点は2200℃である。今回は多少破損した程度である。問題は熱くなった容器に水が接触するとどうなるかだ。
 鉄系元素の単体を赤熱して水蒸気に接触させると水素が発生するというのは、高校の化学の教科書に書いてある周知の事実だ。水素は分子量が小さく、漏れ出し引火爆発に至る。水素爆発はこの種の核発電所では想定の範囲内であろう。建屋は爆発時に吹き飛ぶように作られているはずだ。そうしないと余分な被害が生じるからだ。

 漏れ出す放射性物質も、半減期が短いものばかりなので、その近くでは被曝があるが、比較的短期間に人体に対する影響はほとんどなくなる。これも強調すべきことである。
 風評被害を生み出しているのは報道各社である。       (この項続く)
 

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