続々 大学入試問題 珍問奇問集

 かなり昔の岡山大学の問題である。アセトアニリドに関する出題で、いろいろなことを問う、ごく普通の問題であった。
 ところが最後に、「この物質の用途を述べよ。」という問題があった。これには困った。その出題年度の2年ほど前に、アセトアニリドは医薬品リストから外されていた。副作用が強く、重篤な肝機能障害等を起こすことがわかったのだ。 

 それ以前はアンチフェブリンという商品名で市販されていたが、新聞などで大きくその害が報道され、医薬品としての命脈が尽きた。

 さて、その大学は医学部もあるその地方ではかなり有力な大学である。その大学がこのようなまぬけな出題をしたので、当方もかなり驚いた。

 たまたま、入試回答速報で新聞等に載る正解を筆者が作る役目であった。答にはなんと書くべきか、ずいぶん迷った。思い切って、「2年前までは解熱剤、現在はただのゴミ」とした。本当にゴミとして近くの薬局が捨てたのを見たからだ。

 その発表を見て、大学当局はかなり驚いただろうと思う。しかし、何のコメントも発表されなかった。ずるい話である。

 まさか、「アニリンのニトロ化物を作るときに酸化されないように経由する中間生成物」という答を期待していたのではあるまい。 

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続 大学入試問題 珍問奇問集

 グルコース(ブドウ糖)分子の光学異性体の数を聞く出題は多い。名古屋大学などは過去30年間に7回も出している。答えは当然、16である。不斉炭素原子が4個あるから、2の4乗で16ということになる。

 ところが困ったことにα‐グルコースあるいはβ‐グルコースの不斉炭素原子の数を聞く大学がある。聞いても悪くはないが、本来、化学者はそのようなことに興味を示さないものだ。すなわち不自然な設問である。
 環式になっているから、1位の炭素原子が新たに不斉炭素になり、不斉炭素原子は5個となる。ここまでくれば、「光学異性体の数は?」ということになるが、そうなるとこれはかなりまぬけな設問である。聞くのはおかしい。

 どうやら、「グルコースとは鎖式のものを指す」ということに気が付いていないのだ。これは高等学校のレベルにおいては気が付きにくいものなのだが、大学の教師が知らないということになると大問題である。

 
 グルコースについては、もう一つとんでもない問題が日大で出されたことがある。
「デンプンを加水分解すると、□‐グルコース、セルロースを加水分解すると□-グルコースが得られる。これらの空欄に、α、β、γ、δ、ε…の中から適当なものを選べ」というものである。
 答は当然α、βであると思った人は多いだろう。
 
 残念ながら、正解はこれらの選択肢にはない。それは「αおよびβの混合物」である。α型とβ型の間の相互の変化は非常に速いので、片方だけが水溶液中に存在することは考えられない。
 しかし、この種の誤問は多い。毎年どこかの大学で出題されるし、某S予備校の教科書にもあった。

 昨年岐阜大で出題されたのはα‐グルコースを水に溶かして平衡になるまでの時間を計算する反応速度の問題であった。平衡になるまで数時間以上掛かるような答であった。こんなことはあり得ない。溶けた瞬間に平衡は成立すると言ってよい。

 このような問題が出題されるのは、出題委員に化学の専門家がいなかったのが原因である。医学部の教授が作っていることがわかったのだ。彼らは専門家ではないので、思い込みによって変な問題を作ってしまうのだ。どうして専門家の意見を聞かないのだろう。聞けばすぐに「これはおかしい」と指摘を受けるはずだ。
 

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