”まねる”ということ

 実は三層鋼はヨーロッパのアイデアのようだ。

 北欧の製品に似たものがあるのだが、刃の部分にクロムを含む鋼を使用しているので極端に錆び易いということはないようである。
 それをまねて高炭素鋼を18-8ステンレス鋼で包んだものだから、その電位差が大きく凄まじい速度で錆びてしまう。海水に浸けておけば1週間で三枚おろしが出来るのではないだろうか。もっとも真ん中の部分は錆の粉になってしまうだろうが。
 まねるのなら100%まねるべきである。怪しい知恵を出すものだから、購入者は大変困る。

 アンモニア合成法が開発されて、かれこれ百年近くになる。1912年のことであるが、その翌年には早速日本にも輸入された。
 その装置は水素と窒素の混合気体を数百気圧まで圧縮し、加熱して触媒に接触させるというものであった。反応容器は二重構造で、内側は低炭素鋼管、外側はそれに密着する無数の穴を開けた高炭素鋼管であった。

 この構造は実にすばらしく工夫された造りで、高温高圧の水素が鋼管にもぐりこんで、内部の炭素と反応してメタンになるのを承知した工夫であった。このように水素と鋼中の炭素が反応することを「鋼の水素脆化」という。炭素が抜ければ鋼管はただの鉄管になる。圧力には耐えきれない。

 外側の穴あき鋼管は、内部から漏れ出した水素を素通りさせて、耐圧性能を保持するための工夫であった。内部の鋼管を定期的に取り替えていれば、破裂の心配はない。
 ところが、日本の担当者は穴あき鋼管を見て、それを穴の開いていない鋼管に取り換えればより丈夫になると思ったのである。
 早速そのように改造し、爆発事故が相次いだ。それが元の様に戻されたのは、それから何年も経ってからのことである。しかも、それはその担当者が居なくなってからのことであったそうな。
 余分な工夫をするものだから、滅茶苦茶なことになるという良い見本である。

「下手の考え、休むに似たり。」と言うではないか。

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