電離度α

 弱酸の電離の度合いを表す電離度という概念がある。
 
 どういうわけか、日本の化学の教科書にはα(アルファ)が使ってある。よその国の教科書を調べると、αが使ってある国は少ない。
 大抵は x である。場合によっては i が使ってある国がある。イオン化の度合いという意味であろう。

 日本人はαが好きである。「プラスα」という成句もあるくらいだ。これがどこから来たかということは、もう誰も知らないことになってしまったように感じる。
 野球のイニングの9回裏に X が付くときがある。9回裏がなかった場合だ。要するに先攻側が得点できずに勝敗が決まってしまう時である。それは X に決まっていると思うかもしれないが、筆者の祖父はαを書いた。
「それは X だよ。」と言っても、「いいや、αだ。」と譲らなかった。昭和34年(1959年)まではαだったのだ。
 
 日本に野球を伝えたのはアメリカの宣教師たちで明治11年のことらしい。彼らはスコアボードに X を書いたはずだ。ところがそれは早く書いたのでαと見間違えられたのだ。電離度も欧米では X を使っていたのが多かったはずである。黒板に書かれたその文字を見た留学生たちはαと見間違えたのであろう。

 英米では X の書き順はαと同じである。フランスでは左半分を書いて右半分を書く。
皆さんの X は英語かフランス語かどちらだろう。

 さて、野球の話に戻るが、戦争に負けてもずっとαを使っていたのは興味深い。しかし、1959年にはディマジオをはじめとする、アメリカからの野球親善使節が来日したのである。その場で、間違いを指摘されたのであろう。

スポンサーサイト



気体の臭い

 無機化学の分野で、「気体の発生」という単元がある。それを見ると臭いは刺激臭というのが多い。
 刺激臭とは何だろう。

 たとえば塩化水素の臭いを嗅ぐとする。塩化水素は鼻の中の水分に溶け込み、そのpHを下げるだろう。鼻の中の神経はそれを脳に伝え、脳はそれを刺激臭と感じる。
 その他の酸性の気体の臭いも多かれ少なかれ似たようなものである。硝酸は多少違う臭いだ。タンパク質などと多少反応するのかも知れない。

 ところで、二酸化炭素はどの本も「無臭」と書いてあるが、それはおかしい。筆者には、刺激臭である。ドライアイスをポリ袋に入れ、それをしごいて内部の気体を全て押し出す。しばらくすると膨らんでくるが、それは純粋な二酸化炭素である。その臭いを嗅ぐと、明らかに鼻の奥を刺すような刺激臭である。普段こんなに濃い二酸化炭素を吸うことはないので、誰も気がつかなかっただけだ。

 コーラを飲み干し、しばらくゲップを我慢すると胃が膨らんでくる。ゲップを鼻の方に通すと、鼻の奥がツンとする。二酸化炭素が刺激臭であることが分かったであろう。

 ある化学者にこの話をすると、彼は「気がつかなかった。そうだよ。その通りだ。」と叫んだ。アンモニア臭もほとんど同じことで、鼻の中でpHが上昇するのである。
 だから、塩基性の物質は臭いが似ているものが多い。

 その化学者は、pHの変動を省いた部分の臭いを嗅いでみたいものだと言った。私も嗅いでみたい。   

プロフィール

7obac9z0f3sv

Author:7obac9z0f3sv
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR