経口摂取

 ゲルマニウムの話が出たついでに、各種の経口摂取する各種のお茶などや、サプリメントについて考えてみたい。

 生物は経口摂取するものに関しては、かなりのリスクを見込んでいる。要するにものを食べて、生命の危機が生じることが起こりにくいようになっている。
 タンパク質はすべて分解されてアミノ酸になり、糖類はグルコースになる。
 アミノ酸は遺伝情報に基づいて全て組み替えられて新しいタンパク質になる。すなわち酵素を経口摂取することは、まったく何の意味もない。高価なプロテインのサプリメントを摂取するくらいなら、スルメと豆腐で十分である。

 先日、知人が勧めるナタ豆と称するお茶の効能書きを見て仰天した。
「酵素ウレアーゼが含まれていて、有毒な尿素を分解します。」とある。この文の中にはいくつ間違いがあるだろう。

 まず酵素が含まれていたとしても、上記の理由で×。
 何かの間違いで、その酵素が体内に入ったとすると、せっかくアンモニアを尿素に変えて無毒化しているのに、直ちにアンモニアに戻って死を招くはずである。

 牛肉を食って牛になると思う人はいない。当然豆を食って豆にはならない。この理屈が分かれば、上記のような健康食品は買わない。健康に良いと信じて何かを買う人は、新興宗教に入るようなものであるというNさんの話は正しい。
 何かを食べて健康を害すということはありうる。しかし何かを食べて健康になるという話は怪しい。世の中の健康食品というものがどうしてここまで売れるのか、その理由は科学教育の無意味さの証明に他ならない。
 明らかに、「話せば分かる」というレベルからは遠いところにある。
 
 

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ブランクテスト

 実は先回の記事の日焼けの話は、このブランクテスト(空試験)の話題を出すための伏線のつもりであった。

 実験でデータをとるとき、、まったく同じ実験を二つ行い、その中で一か所だけ異なることがあると、その違いが現れる。その違いこそがその求めるべき結果である。

 たとえば、過マンガン酸カリウム水溶液で何かの水溶液に硫酸を加えて酸化還元滴定する時、その相手の水溶液と同じ体積の蒸留水に同じ量の硫酸を加えたものを用いて同じように滴定する。
 蒸留水と硫酸だけでも何らかの数値が得られる。その数値を引算したものが。求めるデータである。このような方法をとると、あらゆる不確定要因(たとえば過マンガン酸カリウムの純度など)を一挙に引去ることが出来るので都合がよい。

 極端な例を出そう。
 現在、地球の温暖化が問題になっている。二酸化炭素の濃度増加がその原因であるということになっている。さまざまなシミュレイションが行われ、それらしい結果も出ている。しかし本当にそれだけかということは誰も言えない。
 現在の地球と同じ天体を持って来なければならない。そして片方は石油などの化石燃料をどんどん燃やし、片方はまったく燃やさない生活をして比較しない限り、確実な結論は出せないということだ。

 入試問題にも、このブランクテストをしている実験の問題が出ている。しかしそれを引用した問題集の答は、ブランクテストの意味を理解せずに妙な計算をしているものが多い。

日焼けの原因

 日焼けは太陽光の中に含まれる紫外線によるものだ、ということはかねてからわかっていることで、それには論評の余地はない。

 20年ほど前、オーストラリアの学者が面白い仮説を出した。目からの光刺激が日焼けをを促進しているというのだ。
 同じ量の日射を浴びていても紫外線を遮断するような眼鏡をしていると日焼けの程度が違うそうだ。面白い理論だ。地下牢に閉じ込められていると日射がないので青白くなったという話はあるが、それは日光に当たれなかったからで比較の仕様がない。

 この仮説の立証は極めて難しい。まったく同じ人間はいないので、まったく同じ環境において一か所だけ異なるような実験が必要だ。これをブランクテストという。
 一卵性双生児の一方は健全で、他方の視力がない場合などしか考えられない。そんな例はまずないだろうから、多数の例の比較はできないであろう。その後、この仮説の検証報告は聞いたことがないが、ありうる話であると思っている。

 最近は日射を浴びて健康になる、という話は誰も信ずる人がいなくなったようだ。女性は美白ブームで日焼け止めクリームの売れ行きがよいそうだ。しかし完全な紫外線よけサングラスを美容のために売る業者はいないようだ。

 

おそくなりましたが、ようやく有機編、発売開始しました。

 長らくお待たせしていましたプラグマティック化学・有機化学編が発売されました。

 Bitcashというプリペイドカードをファミリーマートなどで購入して、その16文字のコードを入れてください。すぐ読めるようになります。自分で決めたパスワードは忘れないようにしてください。「忘れたので助けてください」という人が、意外にたくさん来ます。

 ダウンロードしてファイルをハードディスクなどに格納すると、早く読めます。

 今回の発売が約2週間遅れましたことは誠に申し訳なく思っています。私が自分でソフトを組んでいるわけではないので、隔靴搔痒の感がありました。

 有機編は、やや高度な概念も含んでいますが、言葉を簡単なものに言い換え、高校生が読んでも理解できるようにしました。
 また、他の参考書にある間違いを正さねばならないという使命感も、この執筆の原動力になりました。

 それではお楽しみください。

 

 本書は販売を停止しています。河合出版からお求めください。

  

硫化物の沈殿のしやすさ と イオン化傾向?

 硫化水素はあまり電離しない。1段目でさえも進まないのに、2段目はさらに進まない。すなわち硫化水素水溶液の中では硫化物イオンの濃度は極めて小さい。

 金属イオンの中にはその小さな濃度の硫化物イオンと反応して沈殿するものがある。無機化学の教科書、参考書にはそれらを次のように並べたものがある。

     ①    ②     ③
    ~Mg | Al ~ Ni | Sn ~

 ①のグループは沈殿しない。②のグループは中性、塩基性なら沈殿し、③はいつでも沈殿する、ということになっている。

 不思議なことに、この序列がどの本にも載っていて、しかも「イオン化傾向の順」であると書いてあるものが多い。

 この怪しい記述は一体どこから来たのであろうか。諸外国の教科書を見ると、硫化物が酸性溶液でも沈殿するものと、酸性では沈殿しないものの二つに分かれているものが多い。ただそれだけしか書いていない。それが正しい。
 そもそも、イオン化傾向は酸化の起こり易さを表す尺度の一つである。硫化物の沈殿反応では酸化還元は起こっていない。すなわち何の関連もないものを結び付けている。
 また、アルミニウムは適度なpHにすると、硫化物でなく、水酸化物が沈殿するから除外するべきである。

 筆者は、長年に亘ってこの不可思議な発想がどこから来たのかを調査してきた。神田の古書店で、一番古そうなものに出会った。それは昭和34年発行の旺文社刊「傾向と対策」の初年度本である。著者はTという化学教育界の長老であった。元・日比谷高校の教師をされていたようであるが、ものを教える人にしては不用意な書き方である。

 それから50年を経ても、これを信じている人は多い。騙されてはいけない。 

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