ベイルートの爆発

 直後から、いろいろな人から接触があった。拙著「プラグマティック化学」に書いてあったからだ。そういう本は少ないのだそうだ。
 Wikipedia も、元はと言えば、筆者が書き込んだものからスタートしている。こういうものに興味のある人は少ないから書き込んだのだ。

 さて、同じことを書くのも癪に障るが、この反応は活性化エネルギィがある程度大きく、自然には爆発しにくい。何かの人為的な仕掛けが無いと難しい。
 高校の教科書には亜硝酸アンモニウムの加熱によって窒素を発生させるという夢物語が書いてある。そんな物質は作りにくいし、結晶があったとしても、それを加熱したら爆発を起こす。 塩化アンモニウムと亜硝酸ナトリウムの水溶液を混ぜるのが普通だ。分解すると窒素と水になる。
 硝酸アンモニウムはそれよりもう一つ酸素原子が多いので、分解すると酸素が1/2分子できる。即ち、燃焼させる力がある。

 大学の教師がこれを研究していたので、興味が湧いたのだ。その人は名古屋での爆発事件を元に、水溶液を爆発させることに成功し、新しい爆薬を作った。

 彼の説明によるとドイツでの爆発は悲惨であったそうだ。BASFの工場で、固まっていた結晶の山を崩すのにダイナマイトで発破をかけたことによる。それでも普通は事故など起こらなかったそうだ。

 名古屋の事件は拙著に引用されている。その時、「母液から肥料として使われる硫安を沈殿させる時に爆発」と書いたら、「硝安を沈殿させる時の間違いではないか」という問い合わせがあった。どちらの溶解度が小さいかを考えれば自明なのだが、かなりの勢いで来たので、驚いたことを思い出す。

 今回の動画を見ていると、爆発時の衝撃波の丸いドームが広がって、それがカメラに届いた瞬間にカメラがひっくり返る場面があり興味深い。普通のガス爆発ではこのような衝撃波は生じにくい。
 しばらく前の事件の大学の教師、新聞記者はそういうことが分かっているとは思えない。

 ベイルートに逃げ込んだ例の国際指名手配の男は、非常に住みにくくなるだろう。食料も枯渇し始めるから、兵糧攻めだ。いずれ出国を余儀なくされ、逮捕されるだろう。これも天の配剤だろうか。 
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空気を抜きながらジューサーを動かす

 たまたま本屋で立ち読みした記事が懐かしく、思わず買ってしまった。ラジオライフ9月号だ。この雑誌は時々大当たりの記事があって面白い。と同時に明らかな間違いもあるが、それは仕方がない。

 学生時代にジューサ―というものが流行った。果物・野菜をすりつぶすと同時に遠心力でジュースを分離する。しかし空気に触れているので急速に劣化してしまうから、あまり意味はなさそうだと思った。
 極めて初期のジューサーは遠心分離のフィルタが円筒状で、一回ごと外して掃除をする必要があり、「暮らしの手帖」誌で酷評され販売停止になった。その後フィルターを円錐状にして、連続的に絞れるものが出て来た。カスは遠心力でフィルターを這い上がるようになっていたのだ。しかしカスを捨てなくても粉砕するだけでも飲めるものもあり、それをやってみたかった。
 空気を巻き込んでいると、ビタミンCがほとんど壊れるという記事をその雑誌で見たので、空気を抜くことを考えていた。
 家に古いミキサーがあったのでそれを実験室に持って行って、真空ポンプをつないだ。もちろん安全瓶を介してである。安全瓶が無いと、何かの間違いがあると逆流してアウトである。
 ミキサーの中に果物類を入れて真空ポンプ(もちろん記事にもある水流ポンプである)を作動させてスイッチを入れた。空気がほとんど無いので、妙におとなしく粉砕されてどろりとしたものができた。飲んでみると非常においしかった。牛乳を入れてみたり、いろいろな工夫をした。
 これが実用化されると面白いと思ったが、周りの人は誰もその様なものには興味を示さずそのまま50年も経ってしまった。この記事を読んで、昔のことが思い出されて、妙になつかしい。

 その後アメリカに行ってみると、スムーズィ(smoothieなどと綴る)という飲み物があり、昔自分が作ったものとほとんど同じであると感じた。製法は多分異なるだろう。

 この装置を作るのは難しくはないので、試されると良い。水流ポンプによって得られる真空度は水道水の蒸気圧によるから、水が冷たい時期の方がより高真空が得られる。

蓮の葉

 友人に会ったら妙なことを質問された。
「ヨーグルトの蓋にはべっとり中身が付いているだろう?あれを付かなくするにはどうしたらよいか。君ならどうする?」
唐突な質問だったが、よく考えて、
「もともとあまりつかない材料なら、小さなとげを付けたらどうかな?里芋の葉っぱみたいに弾くかもね。」
と答えたら、彼は目を丸くして驚いた。
「テレビで見たんだな。」
 筆者の家にはテレビと称するものはない。もう20年以上もテレビを見ない生活をしているから、そんなことを言われても困った。

 彼曰く、アルミニウム製品を売る会社の人が長い時間を掛けて開発したものだそうだ。テレビでやっていたそうだ。それを聞いて驚いたのはこちらだ。
「そんなこと、界面化学の教科書に書いてあるぜ。知らない化学屋が居たら、そりゃモグリだな。」
 それを聞いて彼の方が驚いた。
「化学の教科書に書いてあることなら、特許も取れないよね。」

 世の中にはいろいろな会社があるが、すべての分野の職場で化学系の人を採用すべきである。ものの見方が違っていれば、誰も気が付かないことを発見し、貢献できる。以前書いた鉄道分野の金属の接触で局部電池ができることなど、それを妨げて長持ちさせることができる。もっとも、その人が優秀でなければ、結局は同じことになりかねない。
 化学を目指す人には、頑張ってもらいたい。

 特許は細かな突起をつけてそれが外れない工夫について出願されている。さすがに蓮の葉の構造は特許にはならない。

水商売

 納豆を食べている時に、違和感を感じた。製造上の不備があったらしい。納豆製造会社に連絡したら、代替品と、会社案内等を持って来てくれた。わざわざ来るほどのことはないのだが、近くに用事があったそうで、営業の人が寄ってくれたのだ。

 その会社案内を見て、いささか驚いた。曰く、水にこだわっていると書いてある。
洗浄浸漬から蒸気まで、大豆に触れる水分はすべて電子水を使用」と書いてある。これって何だろうね。
 欄外に「電子水、マイナスイオンなど人間の身体に良いものをいち早く使用しています。」とも書いてある。

 こんな事さえ書かなければ、この会社には好印象を持ったのに、残念なことである。この種の言葉を見てすごい!と思う人はどれくらいいるのかは知らないが、科学教育の無能さを思い知らされる。

 水はあちこちで怪しいものを売っている。「~~の水」というのがそれだ。おかしすぎて、思わず目をそらせてしまう。どうして公取はもっと厳重に取り締まらないのだろう。

 山形大学の天羽先生のサイトに面白い話がたくさん載っている。最近はリンクを押してもつながらないものがあるが、根気強くたどって行くと見られる場合が多い。

バッテリーから硫化水素?!

 よくわからない記事がある。
 この記事によると、鉛蓄電池から硫化水素が発生するとある。そんなことが起きるはずはないのだが、このイエローハットの工場長と称する人が何か言っているようだ。
 希硫酸が発生するなどとも書いてあるが、一体何を言いたいのだろうか。

 過充電は昔よく経験している。鉛極の上で水の電気分解が起こる電圧2.2ボルトを超えると、酸素、水素を放って水が減っていくが、硫化水素は出ない。還元されて生じるのは水素である。硫化水素を水溶液の還元で作るのは、この電圧ではまず無理である。
 しかしこの人は経験があるようなものの言い方である。硫化水素が出れば、鉛は真っ黒になるはずである。そんなことはあり得ない。

 死因が何かはいずれ解明されるだろうが、不思議な話である。拙著プラグマティック化学の152, 157ページに関連したことが書いてあるので参照されたい。

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